新しい牛乳加工工場が設立された(2009年9月22日)

モンゴルでは、1990年以降、経済のショック療法と称する、従来の経済システムの解体がIMFなどによって画策された。その結果、モンゴル経済の混乱が起こった。

モンゴル経済の基幹産業である農牧業も例外ではなかった。

食肉輸出は衰退し、皮革部門、農業部門は生産活動を止めるか、激減した。その傾向がここに来て少しではあるが復活の気配を見せている。筆者は、すこし前に、皮革業農業でそれを論評した。

工業部門でも、セメント工業が復興傾向にあることも以前に論評した。

1990年以前に衰退した産業のこうした復興傾向は、モンゴルの伝統が正しく受け継がれていることを示すものである。

ここに来て、もう一つの事象が加わった。それは、牛乳加工業である。

「スー」乳業会社がある。当該会社は、1958年に設立された。1990年代に入り、「スー」乳業もまた、上述のように「ショック療法」にさらされ民営化された。

案の定、この会社は倒産した。


(注:セレンゲ・アイマグ、アルタンボラグ・ソムにある倒産したセメント工場。骨組みは残っているので、復活できる。筆者写す)


(注:ウブルハンガイ・アイマグのネグデル[農牧業協同組合]の崩壊寸前の建物。筆者写す)


(注:ヘンティー・アイマグ、ガルシャル・ソムの旧ネグデル[農牧業協同組合]の放棄された建物。モンゴルでは修理次第で復活できる。筆者写す)

その後、ウランバートル市で食品サービス業を手がける「マクス・グループ」(代表はД.ガンバータル、モンゴル競馬馬の有名なオヤチ[トレーナー]でもある)がこの工場を買収し、牛乳加工、販売を開始した。


(注:これは、「スー」乳業会社のものではないが、モンゴルで一般的に利用されている脱脂粉乳からの加工乳。酒造業を展開するАРУ社製。所有主はバトフー国家大ホラル[国会]副議長[民主党]。筆者写す)

このほど、この「スー」乳業会社は、牛乳加工のための工場を新たに設立し、タラク(注:モンゴル・ヨーグルトのこと)、アイスクリーム、脱脂粉乳、アールツ(注:モンゴル・サワー・ミルクのこと)、アーロール(注:モンゴル乾燥固形型甘酸味チーズ)を生産することになった(ウヌードゥル新聞2009年9月22日付)。


(注:「スー」乳業会社製のアーロール。筆者写す)

産業各分野での伝統的工場の復興は、モンゴル発展の基礎となるものである。(2009.09.27)

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