フトゥルのセメント・カーバイト工業の振興について(2009年9月17日)

フトゥル(注:セレンゲ・アイマグの現サイハン・ソム)にあるセメント・カーバイト工業は、セメント年産50万トンとカーバイト年産6万トンの生産能力を持っており、国内生産の50%を満たす国内主要工業の一つである。

銅・モリブデンを採掘するエルデネト社にも近い。

ここで生産されたカーバイトは、その70%をエルデネト社に納入し、残りを製鉄所、ボロー・ゴールド金鉱会社、建設会社に納入している。

このセメント・カーバイト工業は、技術革新を導入することによって、国内生産の100%を満たすことができる。

そのためには、7000万ドルの資金が必要であり、政府が支援することになった。

セレンゲ・アイマグ選出の国家大ホラル(国会)議員の一人は(注:奇妙なことに、アナーキー志向のバトウール)、この国営企業を民営化すべきではない、と主張する。

これは至極正当な意見である。

これもまた奇妙なことに、日本企業の丸紅が、2000〜2004年、4000万ドルの資本を投下したことがあった。だが、民営化のウワサがあって、丸紅は撤退した。

融資返済が民間企業になると不可能になる、という判断かららしい(ウヌードゥル新聞2009年9月17日付)。

彼ら現地駐在員は、モンゴル政府高官に食い込み、業績拡大を試みたのだろうが、視野狭窄そのものであった。

フトゥルにあるこの「セメント・カーバイト」国営工業は、1990年以前から稼働していた。民間部門に依拠することなく、政府がこの工業に資本投下することは、モンゴル経済に多大の貢献をするであろう。

すなわち、このセメント工業は、インフラ(注:道路、アパート建設など)整備のための原材料を提供し、モンゴル国内産業の生産活動を促進させるための基盤を提供する。

また、工業部門において、モンゴルが中国の原材料・製品輸入に依存することをやめ、経済的自立を可能とさせる第一歩となる。

上記ウヌードゥル新聞は、「行政府が民族産業を支援する時が来た」、と書いているが、確かに、政府主導による民族産業の支援は、有意義なことである。(2009.09.20)

(追補)2010年度春期国家大ホラル(国会)は、このフトゥル・セメント工業に係る、全長1100キロの鉄道を2年以内に敷設することを採択した(ウランバートル・ポスト新聞2010年7月30日付電子版)。(2010.07.31)

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