専門教育訓練国民協議会(МБСYЗ)が設立された(2009年9月28日)

2009年度春期国家大ホラル(国会)は、「専門教育訓練法」を制定した。

同法に基づいて、「専門教育訓練国民協議会(МБСYЗ)」が設立されることになり、教育文化科学省事務次官Б.ミシグジャブが会長に就任した。

同評議会は、非常勤の委員16名で構成され、政府関係委員8名と、民間出身委員8名とからなる。

設立の目的は、1)専門教育訓練に関する政策提言を行うこと、2)訓練の実施状況に対する監査と評価を行うこと、3)専門教育訓練の社会的意義を協議すること、4)労働者への専門教育訓練のために、会社経営者および事業主向け「賃金基金」から、一定の割合の拠出金を徴収する権限を持つこと、などである。

将来的には、「専門教育訓練国民協議会(МБСYЗ)」は、「専門教育訓練センター」に改組の予定である(ウヌードゥル新聞2009年9月29日付)。

さて、この「専門教育訓練国民協議会(МБСYЗ)」設立の意義についてであるが、モンゴルは、1962年、経済相互援助会議(コメコン)に加入してから、畜産品や地下資源をほとんど未加工のまま輸出してきた。このため、国内には加工業の発達が余りみられず、原材料品輸出国の地位に甘んじてきた。1990年以降も、その形態が経済相互援助会議(コメコン)加盟国でのそれから、IMFからの援助依存に変わっただけで、その地位は変わっていない。

だが、ここにきて経済的自立の機運が盛り上がり、産業振興策が推進されている(注:何度か本時評でとりあげた農牧業、セメント工業、鉱業などの諸部門において)。

その際の最大の弱点は、産業振興を支える人材が不足していることである。

このための専門家養成が急務となっている。この「専門教育訓練国民協議会(МБСYЗ)」がその中心を担うであろう。

だが、問題点もある。第一に、同協議会が今後移管を予定している「専門教育訓練センター」は、その設立資金や備品などを「千年試練基金」からの2210万ドルに依存していることである(ウヌードゥル新聞2009年9月29日付)。

ブッシュ前米大統領の発案で設立された「千年試練基金」は、その目的が将来的には米国の利益にかなうようなものであることは、ここでおくとしても、経済的独立をめざすのであれば、当然、モンゴル国の国家予算で実行するべきである。

こうした「援助」が腐敗・汚職の温床となることは、これまで第三世界に属する諸国でみられたことである。

第二に、これはモンゴル的現象なのだが、何か事業を興す場合、まず法律(それも欠陥が多い)が制定される。そうではなくて、国民の生産活動とそのための機運が高まってから、国家や法律がそれを支援することが必要である。

「開墾V」運動は、その面で優れた事例であった。

モンゴルでは、法律だけが制定され、実態がないことが多いのである。

いずれにせよ、筆者は、「専門教育訓練国民協議会(МБСYЗ)」設立がモンゴル産業振興のための基礎となることを願っている。(2009.10.4)

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