
2007年度春期国家大ホラル(国会)開会(2007年04月05日)
次期選挙を来年(2008年)に控え、各党は選挙態勢を整備する中で、2007年4月5日、2007年度春期国家大ホラル(国会)が開会した。
今国家大ホラル(国会)は、「大荒れ」が予想された。
第一に、憲法裁判所が
ニャムドルジ国家大ホラル(国会)議長の越権行為弾劾裁決を出したことで、野党的スタンスを標榜する民主党は、2007年4月2日、ニャムドルジ国家大ホラル(国会)議長が国会を主宰できない、と発表し、もし、彼が議会を主宰すれば、議会をボイコットする、と彼に申し入れていたからである(ウヌードゥル新聞2007年4月4日、5日付)。
一方、これに対し、国家大ホラル(国会)人民革命党会派は、2007年4月2日、会議を開き、ニャムドルジ議長が辞職する必要がないことを確認し、また、憲法裁判所の構成を法律家のみにするべきことを要求した。そして、政治目的を持つ憲法裁判所委員が少なからずいることを非難した(ウヌードゥル新聞2007年4月3日付)。
さらに、当のニャムドルジも、ニュージーランドへの海外出張から帰国してから、2007年3月30日、記者会見をして、憲法裁判所の議長弾劾裁決は、政治的決定である、特にП.オチルバトの私的利害からなされた、と反論していた(ウヌードゥル新聞2007年4月2日付)。
第二に、「健全な社会のための市民運動」などの市民運動は、ニャムドルジ国家大ホラル(国会)議長罷免を求めて、抗議集会を開催すると発表していた。
実際、国家大ホラル(国会)開会当日、「健全な社会のための市民運動」(代表Ж.バトザンダン)、「健全な市民戦線」(代表Г.アルスラン)が集会を開き、「ニャムドルジ国家大ホラル(国会)議長罷免」、「人民革命党、民主社会主義青年同盟」解散を要求した。また、貯蓄信用組合事件被害者たちは、人民革命党本部で座り込みを開始し、市民の意志党が彼らに食糧を提供した(ウヌードゥル新聞2007年4月6日付)。
だが、今国家大ホラル(国会)は予想に反したものとなった。
第一に、ニャムドルジ国家大ホラル(国会)議長は、開会冒頭で、民主党の要求を考慮して、一定期間(憲法裁判所の採決を報告するまで)、議長の職務を副議長に代行させる、と述べて、ルンデージャンツァン副議長と交代した。
ニャムドルジは、その際の冒頭演説で、自分は成立した法案の内容を変えるまで改竄していないことを、後に法案の一条一条にわたって証明できる、と述べた。
第二に、エンフバヤル大統領は、人民革命党に強い影響力を今なお持っているが、その冒頭演説では、40の重要法案(注:経済・予算・税制関連法案、建設都市整備関連法案、地下資源関連法案、法政・治安関連法案、環境保全・牧畜業関連法案など)の審議を促進するよう要求したのに加えて、モンゴル国内外で社会的不満が増大しているとして、エンフバヤル政権の施策を非難した(ウヌードゥル新聞2007年4月6日付)。
モンゴルの現在の政治状況は、「嵐の前の静かさ」である。(2007.04.08)
(追補)エンフバヤル大統領は、国家大ホラル(国会)冒頭演説でМ.エンフボルド政権を批判した。これに対し、М.エンフボルド首相は、翌日の2007年4月6日、国家大ホラル(国会)総会で演説し、これには反論せず、「おしゃべりではなく、生産的な行動をする時期が来た」、と述べた(ウヌードゥル新聞2007年4月9日付)。これは正しいというべきであろう。(2007.04.10)
