
М.エンフボルド首相の東部3アイマグ訪問と党内問題(2006年12月05日)
М.エンフボルド首相は、2006年12月05日から、東部3アイマグ(ヘンティー、スフバータル、ドルノド各アイマグ)を訪問した。もちろん公務主張である(ウヌードゥル新聞2006年12月05日付)。
М.エンフボルド首相は、最初の訪問先のヘンティー・アイマグ(注:当該アイマグは国家大ホラル(国会)議員3人が人民革命党、知事とアイマグ議会議長が民主党という、微妙な政治状況の中にある。ヘンティー・アイマグの問題は拙稿「
地方行財政とヘンティー・アイマグ」参照)で演説を行った。
その内容は、1)一人当たりGDP950ドル(2年前より約200ドル増加)、2)貿易収支の黒字240万ドル、3)経済成長率8%、4)来年1月から公務員給与30%引き上げ(平均賃金16万5000ドルに)、5)子供に年11万3000支給(年2回分割)、6)3万7000カ所の就業機会創出、7)新税法により鉱山利用料の10〜25%を地方自治体予算へ、8)道路・エネルギー部門への資本投下、などであった。
すなわち、彼は、自身が率いる政権の成果を強調しているのである。
さらに、彼は、「モンゴルは移行期を終え、発展期を迎えた」、という注目すべき発言をした(ウヌードゥル新聞2006年12月05日付)。
彼のこの発言自体は別の機会に検討しようと思うが、ここでは、М.エンフボルドが党首を勤める人民革命党の党内問題との関連が注目されよう。
人民革命党は4つのグループ(多数派たるエンフバヤル大統領派、М.エンフボルド首相派、改革派、中間派)に分かれていて、「改革派」たる「伝統・革新ー民主・公正」グループを解散させようとする動きが多数派によって画策されている。
М.エンフボルドは、この改革派との連携を探っている。
というのは、М.エンフボルドがエンフバヤル大統領と一線を画する立場を鮮明にし始めていて、その政策が社会主義的政策を指向するものとなっているからである。これは、
前々回の時評でも言及した。
その一方で、人民革命党内「新しい改革」グループ(注:エンフバヤル大統領の別働隊であるといわれる)は、М.エンフボルド党首に5項目の提案をした。彼らは、その中で、「М.エンフボルド党首解任要求」と「党首・首相分離論」を展開している(ウヌードゥル新聞2006年12月08日付)。
これは、人民革命党小会議を控えてのエンフバヤル大統領によるМ.エンフボルドへの牽制である。
人民革命党内部の動きは、モンゴルの将来への道をめぐっての争論でもある。(2006.12.10)
