
続・М.エンフボルド政権打倒運動について(2006年10月13日)
国家大ホラル(国会)議員民主党会派は、2006年10月11日、会議を開き、
Х.バータル収賄事件に代表されるように、人民革命党が汚職に関与している、として、М.エンフボルド内閣解散要求について話し合った。だが、好機を失したこと、人民革命党会派が解散要求を受け入れないこと、などによって合意に至らなかった(ウヌードゥル新聞2006年10月12日付)。
ところが、「公正国民戦線」なる急進的組織は、2006年10月12日、「国民放送」を占拠し、チンギスハーン空港と鉄道を封鎖する「政治クーデター」を計画している、と発表した。これに関して、同戦線消息筋は、市民の意志党と「健全な社会のための市民運動」による、「国家大ホラル(国会)解散要求」を支持し(注:市民の意志党議員のС.オヨン、М.ゾリグトは、議員辞職を明らかにしている。どういう訳か、これにЛ.グンダライが同調している。彼は政府委員である。例によって自己顕示か)、当局がこれを受け入れなければ、上記の手段に訴える、と述べた(ウヌードゥル新聞2006年10月13日付)。
また、人民革命党内分派(「伝統革新ー民主公正」、「特別大会のために」、「赤いバラ」、「新転回」)は、エンフトゥブシン議員(注:「伝統革新ー民主公正」グループ指導者。先の補欠選挙で当選)の部屋に集まり、特別大会開催要求を発表した(ウヌードゥル新聞2006年10月13日付)。
これに関し、この人民革命党分派「伝統革新ー民主公正」と「新転回」は、2006年10月10日付で、人民革命党党首М.エンフボルドへの「公開質問状」(Ц.オヨンバータル、ジャルガルサイハン連名)を新聞に発表していた(ウヌードゥル新聞2006年10月13日付)。
この公開質問状には、人民革命党における党内改革の必要性が強調されていた。
こうした動きに対応を迫られたあげく、国家大ホラル(国会)民主党会派24人は、2006年10月13日、М.エンフボルド内閣解散要求書を議長に提出したのである。
その理由は、М.エンフボルド内閣が、1)前政権を奪取した、2)国民の権利を奪い、賄賂を拡大させた、3)モンゴルを発展させる政策をとらず、投資計画の遂行率が50%以下にした、である。
このため、憲法第43条第4項により(注:21人以上の議員によって内閣解散要求が提出できる)、解散要求書を提出したのである(ウヌードゥル新聞2006年10月14日付)。
この後、民主党議員のЛ.ガンスフ、С.バヤルツォグト、С.ラムバーたちは記者会見を開いた。
ラムバーは、人民革命党がこの内閣解散要求書の検討を拒否すれば、再度、内閣解散要求書を提出する、と述べた。
ガンスフは、仮に内閣を解散しても、民主党が次の内閣には参加せず、2008年の国会議員選挙勝利を目指す、と述べた(ウヌードゥル新聞2006年10月14日付)。
民主党は、たとえ解散させることに成功しても、次期政権を結成しないのでは、何のための解散要求書なのか、理解に苦しむが(注:憲法の規定による、過半数[39人]の議員会派ではないので、内閣を結成できないのは事実であるが)、とにかく、上記の情勢の中で、政治的得点を稼ぐべく、提出された。
また、
前回に論評したように、エンフバヤルの筋書きであるという見方も可能である。
こうした事態は、政治的混乱をいたずらに招くだけで、無益である。(2006.10.15)
(追補)民主党会派による解散要求書に対して、М.エンフボルド首相は、2006年10月15日、以下のような内容の回答書を公開した。
現政府は、公務員給与および年金の引き上げ、すべての子供に3000トグルグ支給、1、2年児童に給食、「健康人」計画実施、経済成長率9%、国民1人当たり950ドル、などを実施してきた。
来年度は、再度公務員給与および年金額の増額、すべての子供に5000トグルグ支給、3、4年児童に給食、「アパート建設構想」実施、などを計画している。
(民主党会派による解散要求書提出は)、政府によるこうした政策を遅らせようとする行為である。この行為によって、民主党が2008年の選挙に勝利すると考えているとすれば、それは国民を愚弄するものである。
また、現政府は汚職問題に積極的に取り組んでいる。現政権のこの時期に、汚職事件90件のうち、40件が裁決された。汚職事件を政治問題化することは、かえって汚職をはびこらせることになる(注:Х.バータル「獄中書簡」公表をさしている)。
投資計画も、昨年末よりも90%以上実施された(ウヌードゥル新聞2006年10月16日付)。
М.エンフサイハン副首相(民族新党党首)は、(民主党会派の解散要求書提出は)エルベグドルジの報復行為である、と述べた(ウヌードゥル新聞2006年10月16日付)。
また、М.ゾリグト(市民の意志党議員)は、「公正国民戦線」を支持しない、憲法を守るべきである、と明言した(ウヌードゥル新聞2006年10月16日付)。
いずれも道理ある内容であり、今回の事態は収束すべきである。(2006.10.17)
