
「投資家会議2006年」開催(2006年09月14〜15日)
これを受け、2006年(9月14〜15日)に、議場を政府官邸に「昇格」させ(注:前回は子供宮殿)、「投資家会議2006年」と題して、第四回目の会議が開催された(ウヌードゥル新聞2006年09月12日、15日付)。
そのテーマは、観光、食品、農牧業、軽工業、インフラ部門などへの資本投資について、であった。
参加者は、40カ国以上の国々から421人の代表、国内から約400人に及んだ。
エンフバヤル大統領、М.エンフボルド首相、ニャムドルジ国家大ホラル(国会)議長が来賓挨拶し、バヤルトサイハン財務相、エルデネバト・エネルギー相、ナランツァツラルト都市整備建設相がそれぞれのテーマに関して報告をした。つまり、この会議は政府事業であった(前回は、モンゴル商工会議所主催であった)。
その公表された目的は、1)外資企業300以上を参加させること、2)政府の投資政策を参加者に宣伝すること(エルデネト、ダルハン、経済自由特区、農牧業、国際空港建設、観光、eーモンゴルなど)、であった。
前回の会議は、モンゴルの経済成長率が10.6%になった、という背景の中で開催されたが、これは、金世界価格上昇によるものであって、そうであるからこそ、鉱山部門への外資参入をいっそう促そうとしたものであった。
外資企業はこの「鉱山法」改正に反対している。外資への優遇措置が廃止され、うまみがなくなったことがその原因である。
であるから、この外資企業の不満を和らげるのが今回の会議の主要な目的であった。
第二に、今年(2006年)7月期までに、国家予算赤字が1990年以来初めて解消され、黒字になった(バヤルトサイハン財務相談。ウヌードゥル新聞2006年08月30日付参照)。
これは、世界銅価格上昇と、
「銅・金特別税」導入(注:これらの鉱物資源の世界価格が一定以上になると、68%の特別税が課せられる、というもの)によるものであった。
利益の上前をはねるようなこの「銅・金特別税」導入の結果、国内の関連下請け産業が危機に陥り(注:利益の一部が設備投資に回され、国内の下請け産業がその資材を納入している。最もそれは輸入品であるが)、金のモンゴル銀行への売却額が減少した(注:採掘された金のモンゴル銀行への売却量は、2006年8月までに4900.3キログラムとなって、前年より減った。ウヌードゥル新聞2006年09月07日付参照)。
これは金の密輸出によるものである。
だから、人民革命党イデブフテン、民主党Л.ガンスフが、2006年09月13日、投資家会議代表たちと懇談し、鉱山投資家を支持することを強調し、「銅・金特別税」廃止を示唆したのである(ウヌードゥル新聞2006年09月14日付)。これも真の目的の一つである。
さらには、М.エンフボルド政権は、上記の貿易収支黒字について、IMFを含めた国際機関に宣伝したい。
以上のような目的の下で開催された、この「投資家会議2006年」は、「アルタンボラグ経済自由特区」計画案への外資誘致で頂点に達したようだ。
自国での生産を放棄し、外資による開発戦略を推進する、こうした計画案がモンゴルの歴史的発展とモンゴル国民にとって、最良の政策であるのかどうかは今後を見まもる必要があるだろう。(2006.09.17)
