
「首都運輸運転手会議」が結成された(2006年09月20日)
ウランバートル市の人的インフラの根幹を担うものに、バス、タクシー運転手(注:個人タクシーを含める)がいる。
大学の新学期が始まり、地方から家族とともにウランバートルに来る学生たちが増加し、ウランバートル市人口が一時的に10%ほど増加したように感じる。
筆者は通勤にタクシーを利用することが多いが、こうした事情によって、乗車拒否されることが時々ある。
(注:彼ら地方出身者は地理不案内のため、タクシーを利用する。時には、外国人である筆者にさえ行き先を尋ねてくる。タクシー運転手たちは、収益率の悪化、乗せ手有利の中で、より収益の多い乗客を選ぶというわけである)
こうした場合に、彼らの重要な役割を改めて認識する。
モンゴルでは、石油値上げが繰り返され(注:2000年以降12回の石油値上げがあった。最近では9月8日から9日の深夜にかけて石油料金値上げがあった。「ウランバートル・ポスト紙」[2006.09.21]参照)、運輸業者の収益率が年々悪化している。
バス料金は旧料金に復したのだが、バス運転手たちの置かれた状況は変わらない。
こうした状況の中で、「モンゴル産業サービス組合(ホルショー)」、NGO「イフ・ザム・ホルボー」、「エブ・サナー」自由産業連盟が合同し、「首都運輸運転手会議」が結成された。
その目的は、小型バス運転手(注:いわゆる「ミクロ」といわれるライトバン=ミニバスによる乗車業務サービスに従事する人々)とその従業員の権利を擁護することにある。
この「首都運輸運転手会議」は、以下のような要求を国家大ホラル(国会)に提出する。すなわち、
ウランバートル市交通局は、交通運行権を、競売入札によって、バスを所有しない機関に売却している。
その機関は、ミニバスの運転手にバス運行権を15〜30万トグルグで売却する。
さらに、一日ごとに切符代として3000〜8000ドルを徴収している。
だが、彼らに社会保険は与えていない。
市内中心部から郊外バスの運行には、補助金が交付されるが、これが運転手には渡されない。
さらに問題なのは、市交通局長が様々な名目で寄付金を徴収している。例えば、彼の息子の経営する保険会社に保険料として、切符代から4トグルグずつ天引きしている。これが彼らの反対によって廃止されるまでに9100万トグルグに上った(ウヌードゥル新聞2006年09月21日付)。
ウランバートルにおける運輸業の下請化が進行している。その中で、その下部を形成する運転手たちの貧困化が進行しているのである。
さらに加えて、ウランバートル市幹部職員の不正行為(汚職)がある。彼らは、不正に富を蓄積し、富裕層を形成していく。
こうした状況の中で立ち上がる「首都運輸運転手会議」に注目したい(注:支援も)。(2006.09.24)
