第3回北米・モンゴル貿易諮問会議開催(2005年09月14−15日)

モンゴルは豊富な地下資源をもつ。現在は、銅、モリブデン、金などを採掘し、それを国内工業に利用しないまま、輸出している。その人口が250万人ほどであるから、これらの世界市場価格の上下がモンゴル経済に直接的な影響を与える。2004年は金世界市場価格が上昇し、それがモンゴルの公式的経済成長率を10.6%にした

だから、モンゴルでは鉱工業が重要な部門であると認識されており、その「開発」が主要な課題となっている。

大統領をかつて二期務めたП.オチルバトは、その任期期間中の1997年に、彼の部下であったМ.エンフサイハン首相(当時)と協力して「鉱山法」を成立させた。その後、モンゴル鉱山協会会長に就任し、その「開発」に主要な役割を果たしている。彼の言うところによれば、鉱山「開発」はモンゴル自身で行うことは不可能であるから、外資企業と「協力」して行う(ウランバートル・ポスト新聞2005年09月15日電子版)。その際、外資企業には最大限の優遇措置、例えば、5年間所得税を免除し、その後の5年間は50%免除、さらにその後は2.5%にする、といった政策をとることにする(ウヌードゥル新聞2005年04月15日付)。

この措置を最大限に利用し、5年間で鉱物資源を取り尽くし、モンゴル国内から逃避する外資企業も出てきた。

これがモンゴルの国家安全保障に重大な脅威を及ぼすという認識が広がり、今般の大統領選挙(2005年5月22日)でも争点の一つとなり、また、この「鉱山法」を改正する準備作業も進められている。

「鉱山法」改正の骨子は、1)課税を厳密化する、2)増税しない、3)採掘許可証の権利状況を明確なものにする、などであるが(ウヌードゥル新聞2005年09月14日付)、外資企業への優遇措置見直しが必須の課題となるであろう。

こうした状況の中、9月14−15日、「子供宮殿」で、第三回北米・モンゴル貿易諮問会議が開催され(参加者13カ国、150人)、モンゴルの地下資源について話し合われた(ウヌードゥル新聞2005年09月13日、14日、15日付参照)。

(注:この会議は、第2回のそれが2004年09月15−18日、ロシア科学文化センターで行われていた[ウヌードゥル新聞2004年09月16日付])。

主催者側は、この会議の目的として、1)大統領選挙時に地下資源を巡る「否定的」情報宣伝によって、国民に誤解を生じさせた。それを「解消」するため、2)国内企業と外資企業とを結びつけるため、としている。

参加した外資企業の一つ(「モンロド」社)は、モンゴル資源の潜在性を研究している、という報告を行っている。

だが、外資企業の大半は、「鉱山法」改正に反対し(注:表面的には、『鉱山法改正は投資奨励の方向で進めるべきである』、と言うが、その意味するところは「反対」ということだ)、特に所得税への課税率アップを警戒している。

その課税率は、現在のところ、「15%」(О.エンフサイハン議員)ないし「5%前後」(財政経済省)というところで、まだ未確定であるが、上述の優遇措置から考えれば、かなり「厳密」なものになるだろう。

さて、この「外資企業によるモンゴル鉱山開発」については、この時評の「鉱物資源を国民のものに」との主張をめぐって」でも論じたが、本来は、モンゴルの自生的発展には貢献しない。

П.オチルバト・モンゴル鉱山協会会長などは、「鉱物資源世界価格は消費が増えれば増えるほど高くなる」(前出ウランバートル・ポスト新聞)などとのんきなことを言っているが、鉱物資源は、ただたんに「消費」するのではなく、自国で生産・加工し、自国で利用するようにならない限り、それが「発展」にはつながらないだろう。(2005.09.21)

(追補)北米・モンゴル貿易諮問会議と同じような性格を持つ会議として、第2回モンゴル・アメリカ貿易投資会議が開かれている。この会議に出席した商工省副大臣Я.ソドバータルによれば、モンゴルの手工芸織物品を無関税で輸出する可能性が開かれたという。それと共に、米国側に鉱山部門への投資が呼びかけられ、「フルュオー」が関心を示している、という。これなどは、「飴と鞭」というべきであろう。前者はいいとしても(ウヌードゥル新聞2006年03月28日付)。(2006.03.30)

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