「健全な社会のための市民運動」代表たちが刑事告発された(2006年02月08日)

ウランバートル市スフバータル区警察は、2006年2月8日、「健全な社会のための市民運動」代表Ж.バトザンダン、О.マグナイたちに対し、1月12日の人民革命党本部侵入について、刑法179条(注:治安の騒擾行為禁止)を適用し、刑事告発をした(ウヌードゥル新聞2006年02月09日付)。

これに対し、「健全な社会のための市民運動」代表Ж.バトザンダン、О.マグナイ、「急進的改革」代表С.ガンバータル、ジャーナリストのГ.ダシレンチン、Б.オヤンガたちは、2006年2月9日、記者会見を行った(ウヌードゥル新聞2006年02月10日付)。

特に、「健全な社会のための市民運動」代表Ж.バトザンダン、О.マグナイ、「急進的改革」代表С.ガンバータルたちは、次のように述べた。

  1937年の政治粛清(ラマ僧2人が粛清された)と同様な政治粛清が行われる。これは反人民革命党運動を弾圧するためのものだ。1937年の出来事を繰り返さないために、団結しなければならない。

  もしモンゴルに「公正」、「慈愛」があったなら、こうした運動は起こらなかっただろう。

  すべての国で、コミュニストは追放されたが、モンゴルではコミュニストが政権を掌握している。ブッシュがコミュニストとテロリストを同一視したが、それは正しい。

  人民革命党本部の壮大な建物に侵入したが、日々の食べ物のない人々が多くいる。社会のこの悲惨な状況を変革するために闘っている。

  民主勢力はコミュニストと手を握るようになった。

  (当該運動の最終目標は何かという質問に対し)われわれは、汚れた政治をきれいにする。1990年の革命を受け継いで、政界に進出する。

また、これらの人々に対するの刑事告発に関し、モンゴル民主同盟は反対を表明した。市民の意志党も、これは、不公正な行為であり、「市民の権利」、「公正」のための政治運動を支持する、と述べた(ウヌードゥル新聞2006年02月10日付)。

さて、筆者は、2005年2月3日に始まる「健全な社会のための市民運動」について、何度か論評してきた。当初、ウランバートル市民に共感を持って迎えられたこの運動は、党派性を帯びるようになった経緯もかつて述べた。

その党派性を帯びた政治活動が(注:政治活動それ自体は合法的である)、誤った戦術によって、かえって人民革命党を団結させてしまった。これもかつて述べた(注:上記の人民革命党本部侵入の項参照)。

今回の彼らの述べる新しい論点は、当該運動代表たちが「粛清されたラマ僧」に、人民革命党が「コミュニスト」にそれぞれ比定されていることであろうか。だが、ラマ僧が「公正」さを帯びていたわけでもないし、人民革命党が「コミュニスト」であったことは一度もない(まして、ブッシュ流の「コミュニズム」観は論外であるし、コミュニズムは未だどこにも実在していない)。この比喩はどちらも誤っている。こうした虚偽の前提に立った運動は国民の支持を得られないだろう。(2006.02.12)

(追補)党本部に侵入され器物を毀損された人民革命党は、「健全な社会のための市民運動」代表Ж.バトザンダン、О.マグナイ、「急進的改革」代表С.ガンバータルたちに対し、「協調」の申し込みをした。С.ガンバータルはこれを受け入れたが、Ж.バトザンダン、О.マグナイたちは拒否した(ウランバートル・ポスト新聞2006年2月23日)。(2006.03.05)

トップへ
トップへ
戻る
戻る
次へ
次へ