
続々・牧民と金採掘会社との争い(2006年02月13日)
モンゴルの国家予算歳入に占める鉱物資源の役割は大きい。金もその一翼を担っている。だが、環境保全対策を講じないまま採掘するから、環境が汚染される。
これらの諸運動が全国組織をもつことになった。すなわち、2月13日、「オンギ川住民運動」(2001年10月設立)、「トソンザーマル運動」、「アリオン・ソバルガ(聖なる卒塔婆)運動」はその組織を統合して、「河川保全運動同盟」を結成した(ウヌードゥル新聞2006年02月14日付)。
「河川保全運動同盟」は、議会ロビー活動を開始した。その請願紹介議員は、Р.ラシ(人民革命党)である。З.エンフボルド(民主党)、А.バケイ(民主党)も紹介議員として名を連ねている。
彼らは、国家大ホラル(国会)常任委員会にオブザーバーとして参加して、環境汚染の現状を報告し、対策を提案した。
これと同時に、彼らは政府に対し訴訟準備を進めている。ウムヌゴビ・アイマグのマンダルオボー・ソムの住民も、24憶トグルグの被害を受けたとして、訴訟準備中である。
前述のЗ.エンフボルドという、活発な議会活動を展開している若手議員(注:元国有財産委員会委員長)は、1月28日の国家大ホラル(国会)におけるМ.エンフボルド政権閣僚承認審議中に、祖国党(注:実態は、金鉱業を主体とするエレル社出身の人々からなる)出身閣僚候補3人、特に自然環境相候補И.エルデネバータルに対して、エレル社が環境保全対策を怠ったことで検察局が調査中であるが、その企業出身のものが自然環境相になるのはおかしい、と資料を提示して反対していた。
この明確な論理は大方の議員たちの認めることになり、エルデネバートルの自然環境相就任が承認されなくなる事態が生じたことがある(注:結果は数票差で承認されたが)。
「急進的革新」という運動(代表Д.スフバータル)も、2月16日、エルデネバト(祖国党党首)とエルデネバータル(祖国党)というエレル社出身議員の閣僚就任に反対して、その閣僚就任を認めないように大統領に要求した(ウヌードゥル新聞2006年02月17日付)。
以上のように、現代の「
牧民運動」は、広範囲に活動を展開するようになっている。(2006.02.19)
(追補)2007年03月17日、ザーマル・ソムの住民の金採掘反対集会が開かれた。100人以上の牧民、住民たちが参加した。彼らは、「環境の犠牲者にはなりたくない」、と叫んだ(ウヌードゥル新聞2007年3月20日付)。(2007.03.25)
