
モンゴル銀行の金融政策に対する反発(2009年4月15日)
すなわち、以下のとおり。
モンゴル銀行は、政策金利引き上げ(9.75%から14%へ)、市中銀行とのドル売買(3580万ドル分の売却)によって、1ドル1675〜1740トグルグから1440〜1485トグルグに下がり、外貨準備高が6億2750万ドルになった、と発表し、また、インフレ率も16.3%に下落した(2009年3月、と自らの金融政策を評価した。
これに対し、国家大ホラル(国会)の一部議員は非難し、インフレ率を1ケタ台にすべきこと、政策金利引き上が市中銀行の資金の吸引である、と非難した。
このように非難した議員は、皮肉にも、民主党のН.バトバヤル議員である。彼は、石油輸入販売業の「ションフライ」社を所有し、問題が多い
「銅・金特別税」を立案した。
これに対し、プレブドルジ・モンゴル銀行総裁は、この一連の金融政策は、IMFの政策に従ったものであり(適正なものである)、また、市中銀行が企業側に対し貸し渋りを行っており、債権回収を積極化している、と(批判的に)述べた。また、この金融政策は2〜3ヶ月は継続させるであろう、と返答した(ウヌードゥル新聞2009年4月16日付)。
このやりとりからわかることは、モンゴル銀行(およびモンゴル政府)がIMFの経済政策に従順であることである。IMFの経済政策は、基本的には、米国主導のグローバリズムとそれに基づく「世界経済の安定」を主要目的としている。
IMFは、その基本政策のもとで、世界各国に一律の(当該国の特殊性を無視した画一的な)政策を押しつけている。
モンゴル国内では、IMFのとる資本主義にもっとも親和性があると思われるのは民主党である。民主党は、会社経営者(ビジネスマン)の影響力が強い。
彼ら民主党議員たちは、自らの企業経営を優先的に考える。その立場からすれば、今回のモンゴル銀行の金融政策は、企業への融資を閉ざすもので、企業経営にとって否定的な影響を及ぼすものであろう。
このように、資本主義指向勢力が内部対立をせずに、根本的に事態を改善する唯一の方法は、モンゴルが自国内で生産活動を盛んにすることである。そういった意味で、С.バヤル政権の推進する、農業部門での食糧自給をめざす「開墾3」計画は、時宜を得たものである。
「開墾3」計画に関し、補足的に言えば、農業事業者の生産活動を奨励するために、彼らの販売する穀物市場価格を安定化させる「農業法」改正の動きがある(ウヌードゥル新聞2009年4月16日付)。こうした動きは注目していい。(2009.04.19)
(追補)上記「開墾3」計画に関して、バダムジョナイ食糧農牧業軽工業相報告(2009年4月24日)によれば、2008年実施の「開墾V」運動の結果、小麦20万5800トン(国内自給率50%)、ジャガイモ14万2100トン(国内自給率100%)、野菜8万600トン(国内自給率49%)を収穫した。今年度も同運動を成功裏に実行するため、農業生産業者に対し、小麦市場価格を考慮して、助成金を支給する法案を国家大ホラル(国会)に提出する(ウヌードゥル新聞2009年4月25日付)。(2008.04.26)
(追々補)モンゴル銀行の金融政策に対する国家大ホラル(国会)の不満は、モンゴル銀行第一・第二副総裁更迭へと発展した。すなわち、国家大ホラル(国会)・安全保障外交委員会は、モンゴル銀行を監査し、その活動が不適切であったとして、二人の副総裁を更迭した(ウヌードゥル新聞2010年2月26日付電子版)。(2010.02.27)
