
モンゴル銀行が市中銀行に対し競売による通貨取引を開始した(2009年3月17日)
モンゴル銀行は、これに引き続き、4つの市中銀行に対し、隔週2回(注:2009年3月17日、19日より開始)、ドルを競売によって売買することを開始した(ウランバータル・ポスト新聞2009年3月26日号電子版)。
この取引に関して、当初、市中銀行は「ドル買い」を望んだ。だが、モンゴル銀行は「ドル買い」を行わず、「ドル売り」を行った(ウヌードゥル新聞2009年10月17日付)。
この行動に関し、Л.プレブドルジ・モンゴル銀行総裁は、次のように説明している。曰く:
モンゴルのドル相場には、「ナイマン・シャルガー」(注:小規模両替業者、いわゆる「チェンジ」)、「モンゴル銀行」、「市中銀行」の三種類がある。このうち、「ナイマン・シャルガー」がもっとも取扱量が多い。競売によるドル売買の目的は、この三つのドル相場の(価格)の相違を少なくすることである。(すなわち)モンゴル銀行の主要な目的は、ドル相場の食い違いを生じさせないことにある(モンゴリン・メデー新聞2009年3月25日付)。
確かに、ドル相場は、この「時評」執筆時点で(2009年3月29日)、モンゴル銀行が1ドル=1576トグルグ、「ナイマン・シャルガー」が1ドル=1640トグルグと、食い違いがある。
だが、モンゴル銀行と小規模両替業者との価格差は、以前からあったのであって、この「食い違い」をなくすというのは「夢想」であろう。
むしろ、以前にも指摘したとおり、問題なのは、モンゴル(のみ)のドル相場の「恒常的上昇」傾向にある。
モンゴル銀行による金融政策は、この問題(の解決)に向けられるべきであろう。その意味で、今回のモンゴル銀行の行動も不可解だというべきである。(2009.03.29)
