モンゴル・中国首脳会談(2009年4月17日)

モンゴルと中国は、1949年に外交関係を樹立してから今年でちょうど60年目に当たる。それを記念して、モンゴルのС.バヤル首相は、中国を訪問した。

そして、2009年4月17日、С.バヤル首相と温家宝首相との首脳会談が行われた。この会談は、必ずしも儀礼的なものではなかった。С.バヤルは、実務面でも手腕があり、単に儀礼的訪問であれば行かなかったであろう。

その会談の内容は、С.バヤル首相は、1)インフラ、鉱物資源部門で相互協力をする、2)シベーオボー炭鉱を利用して電力を生産し、さらにそれを中国に輸出する。また、最終完成品を製造して輸出する、3)石油、天然ガス採掘に関して協力する、4)ロシアーモンゴルー中国間鉄道を建設する、5)中国側からの3億ドル特恵融資の利用について、6)国境税関のインフラを整備する、7)モンゴル側が中国港湾を利用することについて、など、広範囲にわたるものであった。

一方、中国側は、それに答え、今後の相互協力関係を深めることを約束した(ウヌードゥル新聞2009年4月20日付)。

「会談の終了後、両首相は鉱業分野で協力する両国政府間の協定書、モンゴル財務省は中国開発銀行と協力する協定書、食料品の輸入(および、)輸出の安全を保護する協定書、モンゴル食糧・農牧業・軽工業省は中国の品質の監査(および、)検疫局と協力する協定書にそれぞれ署名した。」(注:Olloo.mn 090420。当サイトの訳文はややこなれないが、原文通り。)

さて、モンゴルは、オユトルゴイおよびタバントルゴイ両鉱山を中心として、モンゴル鉱山部門への投資を世界各国に呼びかけている。ウラン鉱山は、ロシアが先行した。一方、モンゴル南部(ウムヌゴビ・アイマグ)に位置する、両トルゴイ鉱山は、中国が自国国境近くまで鉄道を敷設し、モンゴル側が自国内に鉄道を敷設すれば、銅・金・石炭の原材料あるいは完成品の搬出が可能となるところまできている。

もちろん、モンゴルは自力で鉱山部門を開発するのが理想である。だが、現実には、上述の事態が現出している以上、モンゴルは、従来の歴史的関係に基づいて、「巧妙に」両国(=ロシア・中国)を「利用」することも一つの選択肢ではあるだろう。

この状況に対し、日本、米国など、資本主義諸国はつけ込む余地がないようである。だが、ハゲダカのごとき資本主義企業は、この事態を看過することはないであろう。実際のところ、オユトルゴイ鉱山への投資は、アイバンホーマインズ社が独占的に先行しているが、アイバンホーマインズ社にたいし、リオティント社が資本参加し、リオティント社に中国のチャイナ・アルコ社が資本参加し(注:現在、当社のリオティント社所有株比率が19%である。ウヌードゥル新聞2009年3月16日付)、チャイナ・アルコ社には日本の三井などがすり寄っている。

このように、「潜在的」な資源大国モンゴルをめぐって、資本主義(企業)側は、虎視眈々とモンゴル侵入をねらっている。モンゴル人は、この危険性を十分認識しなければならないだろう。(2009.04.26)

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