モンゴル銀行が「銅・金特別税」の廃止を勧告(2009年2月20日)

モンゴル銀行・商業発展銀行共催「金・金融フォーラム」は、2009年2月20日、金によるモンゴル経済浮揚を提起した。そのための方策として、「金・銅特別税」の廃止が勧告された。

モンゴル銀行総裁Л.プレブドルジは、この勧告に賛同した。

この背景には、「銅・金特別税」導入後、金納入量が減ったことがある。すなわち、2005年の金採掘量が24.1トンで、そのうち15.2トンがモンゴル銀行に納入された。2008年にはそれが15.2トンに減量し、そのうち8.2トンがモンゴル銀行に納入された。

その原因として、「銅・金特別税」導入後、(金採掘会社の)税負担が、29.9%になり、採掘作業とそのための追加設備投資が困難になっていることが指摘されている(ウヌードゥル新聞2009年2月23日付)。

一方、対外貿易赤字が7億6960万ドルに達し、外貨準備高が低下した。このため25%のドル高となった。これと関連し、「通貨法」制定が検討されている(注:貿易取引決済をトグルグで行うことを義務づける、ということ)。

また、モンゴル銀行は、民間銀行を通じて、金採掘業者に対し、1億ドル相当のトグルグ融資を供給する。これにより、金準備高を増やす(ウヌードゥル新聞2009年2月24日付)。

さて、上述の事柄は、少し込み入っているので説明を要するだろう。

政府は、先ほど、経済混乱克服のための方策を発表した。その中で、国家予算歳出抑制と冗費削減をその方策の一つとしてあげた。

だが、この方策による経済効果は、短期には現れないだろう。国民は、むしろ、モンゴル通貨である「トグルグ」価減少に日々苦しんでいる。

このトグルグ減価をどのように食い止めるか、というのがモンゴル銀行と財務省の懸案となっている。その一つの方策として、上述の「通貨法」の制定が検討されているのである。

もう一つの政策(注:こちらは一石二鳥をねらった積極的政策といってもよい)は、金準備高を上げることによって、モンゴル通貨の価値の引き上げを図ることである。

そのためには、金採掘量の増加と、採掘した金の密輸出防止が必要になる。

「金採掘量の減少」と、金密輸出による「モンゴル銀行への納入量減少」は、「銅・金特別税」導入(注:2006年5月。世界市場価格が、銅1トン2600ドル、金1オンス500ドルを超えた場合に、68%の課税をする)によってもたらされたのは明らかである。この「銅・金特別税」は、筆者が以前に論評したように、内外から反対の声が強い

最初、Н.バトバヤル民主党議員が「銅」に関してのみ、「特別税」を課す、という法案を起草していたのを、人民革命党が「金」もこの法案に、急遽、入れ込んだ。

かつて、銅世界市場価格上昇による「銅・金特別税」適用によって、2007年度国家予算が史上はじめて黒字に転じた。

それでも、「銅・金特別税」に対する反対の声が強かった。人民革命党(注:Л.プレブドルジ・モンゴル銀行総裁はホブド・アイマグ選出国家大ホラル[国会]人民革命党議員だった)は、いつ、自ら挿入した「金」を含む「銅・金特別税」を廃案にするか、そのタイミングを計っていたであろう。

ここに来て、「金採掘と金準備高の上昇」という大義名分が整った、というわけである。経済混乱によって「銅・金特別税」適用が、現在、不可能である、というのもそれに加わるけれども。(2009.03.01)

(追補)2009年8月に招集された国家大ホラル(国会)臨時国家大ホラル(国会)は、「銅・金特別税」を無効にした(ウヌードゥル新聞2009年8月31日付)。(2009.09.13)

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