
オユトルゴイ鉱山「投資契約」が国家大ホラル(国会)に上程された(2009年3月4日)
その後、アイバンホーマインズ社とのこの「投資契約」案が最終的にまとまり、2009年3月4日、国会に上程された(注:約170条[延べ273項目]。モンゴリン・メデー新聞2009年3月25日付にその概略が掲載されている)。
Д.ゾリグト鉱物資源エネルギー相は、概略、以下のように説明している。
1)モンゴル側の投資額35億ドルは、モンゴル側の34%の株から得られる収益から投資側(アイバンホーマインズ社)が出す。
2)「銅・金特別税」(注:正確には「若干の生産物価格上昇に係る課税」)は課さない。その代わりに、鉱物資源付加税(29.9%)を課す(これに法人所得税25%が加わる)。
3)5年以内に操業させる。
4)最初は関税を免除する(最長7年)。
5)採掘が始まれば付加価値税を課す。
6)これらを合算するとモンゴル側は76%の利得になる(年間2000万〜8億8000万ドル)。
7)契約期間は30年(国家安全保障委員会は15年を勧告していた)。これは、銅世界市場価格の下落[現在3500ドル]、リオティント社の株価の下降傾向のため妥協した。しかし最終案は国家大ホラル(国会)が決定する(ウヌードゥル新聞2009年3月5日付)。
8)当初は、直接的間接的に約1万人の新規雇用がある。採掘開始時には、更に3500人が雇用される。そのうちの90%がモンゴル人である。
9)環境保全のための環境評価作業を3年毎に行う(「8)と9)」はモンゴリン・メデー新聞2009年3月25日付)。
以前にも書いたとおり、筆者は、「鉱山法」再改正が行われていない中での、この「投資契約」案が時期尚早であると考えるが、ともかく、2009年春期国家大ホラル(国会)で当該案が審議される。
1点だけ補足すれば、この「投資契約」の有効期間が30年であることについてである。
現在の「鉱山法」では、「有効期間は30年」となっていて、この「投資契約」はそれに準じている。もし、「鉱山法」が改正され(注:正確には再々改正され)、この有効期間が短縮された場合、どちらに法的有効性が出てくるのか。
また、30年間で金・銅が掘り尽くされた場合、どうなるのか。その懸念はないかもしれないが、100%ないとはいえない。外資企業はそれをやることに躊躇しないだろう。(2009.03.08)
(追補)上述の「契約期間30年」に関して、テルビシダグバ議員(人民革命党会派)は、(オユトルゴイ鉱山「投資契約」が)きわめて稚拙な「契約」であって、専門家やモンゴルの鉱山企業の意見を取り入れるべきである、契約期間が30年というのは問題で、現在は技術が高度化しているので、30年後に資源が枯渇するおそれがある、従って15年にすべきである、と述べている。更に、1億2500万ドル分を前もって取得する、というのは、実は利払い付きの融資である、としている(モンゴリン・メデー新聞2009年3月12日付)。
また、国家大ホラル(国会)経済常任委員会は、2008年3月12日、契約期間を30年ではなく15年にすべきである、という主張もでている(ウヌードゥル新聞2009年3月13日付)。
さらには、モンゴル側取得株の34%から50%への増加は30年後の契約更新時である(ウヌードゥル新聞2009年3月10日付)。(2009.03.15)
