オユトルゴイ鉱山「投資契約」案がまとまった(2009年2月16)

2009年2月16日、政府臨時閣議で、オユトルゴイ銅・金鉱山開発のための「投資契約」案が明らかにされた(注:16条160項目余からなる)。

この「投資契約」案について、筆者は以前も何度か取り上げてきたが、再度振り返ってみる。

2004年11月、「健全な社会のための市民運動」は、「鉱物資源を国民のものに」するように要求した。

2007年2月1日、エンフバヤル大統領は、鉱山部門からの収益による「祖国の贈り物」構想を発表した。

2007年12月12日、С.バヤル首相は、「投資契約」(注:アイバンホーマインズ社とのオユトルゴイ鉱山投資契約、およびロシアとのアスガト鉱山投資契約)を破棄した。

2008年2月8日、С.バヤル首相は、「地下資源を国民に贈る」、と表明した。

2008年2月11日、リオティント社(注:資本規模の少ないアイバンホーマインズ社の事実上の統括会社)は、С.バヤル政府と会談を行い、アイバンホー・マインズ社との「投資契約」案の破棄を非公式に了承した。

2008年11月10日、オユトルゴイ、タバントルゴイ両鉱山開発に関する、個々の「投資契約」締結が検討され始めた。

ところが、世界金融の混乱のため、オユトルゴイ、タバントルゴイ鉱山の「投資契約」交渉が遅れてきた。

2009年1月27日、С.バヤル政権は、Д.ゾリグト天然資源エネルギー相を責任者とする新しい「投資契約」作成作業グループを結成し、国家大ホラル(国会)が2009年2月1日までと期限を設けた、アイバンホーマインズ社との「投資契約」について、リオティント社と再度交渉した。

両者は、このほどようやく、「投資契約」に合意した。

さて、この「投資契約」の骨子は、
1)政府が34%の株を所有し、1年後に50%にすること、
2)モンゴル側が前もって1億2500万ドルを取得すること、
3)アイバンホーマインズ社は現行法の基づいて税と費用を払うこと、
4)採掘した金はモンゴル銀行に売却するすること、
5)電力は当初4年間は、中国側から供給を受けること、
6)労働者の90%をモンゴル人が占めること(注:以上、ウヌードゥル新聞2009年2月17日付。全文は、モンゴル政府のwebサイトにアップされることになっているが、現時点ではまだアップされていない。)
7)銅溶解工業を新設すること(注:この項は、モンツァメ通信2009年2月23日付電子版。なお、5)の「4年間」もモンツァメ通信2009年2月23日付電子版)、などである。

この「投資契約」案は、次の春期国家大ホラル(国会)で本格的に審議される(ウヌードゥル新聞2008年1月31日付)。

オユトルゴイ鉱山に関する「投資契約」について、ゴンガードルジ(元首相。自然環境相顧問)は、「よい仕事の始め」である、と前向きに評価している(ウヌードゥル新聞2009年2月19日付)。

一方、Ц.ダバースレン国家大ホラル(国会)議員(注:財務省に在職中、「国庫法」を作成した)は、「投資契約」を必ずしも結ぶ必要はなく、また、現鉱山法の規定の34%条項にも反対である。51%にすべきである(エルデネト鉱業会社のように)、と述べている(ウヌードゥル新聞2009年2月19日付。同様の趣旨のことをБ.バトボルド民族統一党党首も述べている。ウヌードゥル新聞2009年2月18日付)。

「オユトルゴイ・タバントルゴイ市民協議会」(Д.エンフバトたちのメンバー)も、鉱山法の再改正を行わないうちに、「投資契約」を急がないように要求していた(ウヌードゥル新聞2009年2月12日付)。

さて、この「投資契約」が国家大ホラル(国会)で承認されたとしても、「鉱山法」に違反する、として(注:特に、モンゴル側株式所有比率「34%」を「50%」に引き上げる条項。現鉱山法では、「34%まで」となっている)、大統領、もしくは憲法裁判所が違憲の判断をする可能性がある。

銅世界市場価格が低迷している現在、鉱山法再改正を待たずに、「投資契約」締結を急ぐ必要はないのではなかろうか。(2009.02.22)

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