土地所有法が再々度施行延長(2008年05月22日)

「土地所有法」の施行期間が終了したが(2008年5月1日)、その後22日経過して、5月22日、同法を改正し、国民一人一人に、国有地を無料で1度限り分与することになった。

すなわち、モンゴル国民一人一人に、2013年まで、ウランバートル市民には0.07ヘクタール、アイマグ、ソム住民には0.35ヘクタール分与する。以前獲得した土地に関しては、家族のいずれか一人の名義にして残し、他の家族成員が新たに土地を取得できる。

また、「優良な国道」から100メートル離れたところの土地も私有化される。これは、工業化、商業化を促進する。これらの土地(の売却の可否)は、当該アイマグ、ソムの住民代表評議会(地方議会)が決定する(ウヌードゥル新聞2008年5月23日付)。

かつて、国家大ホラル(国会)総会は、土地所有法の施行を3年間延長していた(ウヌードゥル新聞2005年6月24日付)。

その理由として、2005年3月31日時点での全国平均土地私有化率は12.8%(ウランバートル市で26.9%、地方で6.9%。ウランバートルのゲル地区で70.1%)、と土地私有化が進んでいないことがあげられていた(ウヌードゥル新聞2005年5月2日付)。

また、筆者は、土地所有法施行(2003年5月1日)後の土地所有化状況を論評したことがある。

今回の「土地所有法」施行の再々延長は、С.バヤル政権がかつて発表していた(ウヌードゥル新聞2008年3月7日付)。

その理由もまた、「土地所有法」に基づく土地の私有化の進展状況が30%であるということであった(注:地方で27%、ウランバートルで30%)。

2007年末時点で、17万3799人が1万9219.20ヘクタールの私有地を所有している。ここ3年間で、1万6127人が土地を担保に171億トグルグの融資を受けた(ウヌードゥル新聞2008年2月25日付)。

何度も指摘するのだが、「土地私有」はモンゴルには適さない。

これを執拗に施行しようとするのは、米国など資本主義国が土地の私有化後の投資(あるいは投機)を容易にするためである。

エンフバヤル政権(2000〜2004年)時、ブッシュ米大統領が要求し、エンフバヤル首相(当時)がこれを受け入れた経緯がある。

もっとも、「土地所有法」が再度施行延長されたのを受け、民主党エルベグドルジたちは、2008年5月23日、民主党本部に記者を集め、この「土地法所有法改正」が19年前に(注:モンゴル民主化運動のとき)自分たちが意図していたものであり、民主党が行った大勝利である、と語った。

また、(Д.ガンホヤグ)は、「この法律が出た結果、市民の活動に大きな変化が出る」と述べた(ウヌードゥル新聞2008年5月24日付)。

口の軽いエルベクドルジのこの発言は、モンゴル民主化運動に対する冒涜である。だが、確かに、「大きな変化」が起こるであろう。しかも悪い方向に。(2008.05.25)

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