土地所有法施行後7ヶ月の現状(2003年12月1日)

「土地所有法」が2003年05月01日に施行されてから、12月01日で7ヶ月間が経過した。

ウヌードゥル新聞(2003年11月29日付)は、「土地所有法」施行の現状について、特集を組んでいる。それによれば、全国規模で、土地所有の申請を6万人が行い、約5万4000人が私有地を取得した。

ウランバートルでは、1万6877人が申請し、1万900人が取得した。

すなわち、土地所有の進捗状況は、2.25%程度であるということだ。これは、土地所有が進んでいないことを示している。

当該新聞は、その理由として、1)土地を所有すれば、その土地に対して税金を払わなければならないこと、2)モンゴル人の長年の習慣に合わないこと、を挙げている。

さらに、同紙は土地所有施行に関するアンケートを実施している。非常に興味深いので、紹介しておこう。

年金生活者:「土地を所有していない」

モリトハンガイ社社長:「土地所有に反対である。広大なモンゴルの土地を200万人が所有するのは無意味である」

ソンギノハイルハン区の住民:「申請しても官僚主義のために実現しない」

運転手:「自分のゲルは高圧電線の下のあるので所有できない。両親が住む地方では土地所有は誤りだと思う」

ムンフ・タルスト社運転手:「自分はアパートに住んでいるので、所有しようと思うが現在は申請していない」

ゴビ・アルタイ・アイマグ住民:「所有しようと思うが、アパートに住んでいるので申請していない」

これらは、かつてこの時評で筆者も指摘してきたことであって、いちいち首肯できる。

筆者も周辺でも、大体似たような状況である。筆者が調査で、「土地登録局」(注:このリンクは「モンゴル時評」の「モンゴル債務、鉱山、土地私有(2003年06月06日)」にとぶ。いささか戻るのが大変ではないかと思うが、寛恕を請う)に出かけたところ、友人の一人にばったり出会った。彼も、土地登録局に申請に行ったが、担当者が不在で申請できなかった、とその官僚主義に怒っていた。ウランバートルでは、土地評価、登記が一応完了した、とされるが、この調子では、土地所有がいつ実現されるか、不明である。

国家大ホラル(国会)でも、土地所有に係る税金問題が議論され、土地税率の軽減が検討されている。

いずれにしろ、「モンゴル人の長年の習慣に合わない」土地所有が実現するのかどうか、その歴史的意義を含めて、今後もさらに見守りたい。(2003.12.08)

(追補)2005年05月1日は、土地所有法による土地所有登録期限日であった。この実施状況は、2005年3月31日時点で、全国平均土地私有化率が12.8%であった(ウランバートル市で26.9%、地方で6.9%。ウランバートルのゲル地区で70.1%)。このため、この土地所有登録期限は更に2年間延長されることになった(ウヌードゥル新聞2005年05月02日付参照)。(2005.05.11)

(追々補)さらに、国家大ホラル(国会)総会は、2005年6月23日、土地所有法の施行を延長し、2008年4月30日まで、とすることを承認した(ウヌードゥル新聞2006年06月24日付)。(2005.06.26)

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