
国家大ホラル(国会)3議員資格停止問題(2007年09月27日)
検事総長は、2007年9月21日、国家大ホラル(国会)3議員(注:Г.ザンダンシャタル、Т.バダムジョナイ、У.フレルスフ。三人とも人民革命党会派)の議員資格停止要求を国家大ホラル(国会)議長に提出した。
彼ら3議員は、2007年9月25日に開かれた国家大ホラル(国会)議員特権副委員会(委員長Д.デンベレル、Д.ルンデージャンツァン、Р.ゴンチクドルジ、Т.オチルフー[海外出張で欠席])で、それを否定した。
当副委員会は、3議員の権利擁護の採決をした。
その30分後、国家大ホラル(国会)人民革命党会派の会合が開かれた。この3議員は、議員特権副委員会の席上と同様の趣旨の発言をした。なお、シャラブドルジとガンディは議員資格停止に賛成を表明した(以上、ウヌードゥル新聞2007年9月26日付)。
3議員資格停止問題について、2007年9月26日、国家大ホラル(国会)法務委員会、および行政制度委員会が開かれ、審議をし、資格停止の必要がない、との採決をした。法務委員会は、「4:10」で、行政制度委員会は、「3:9」で(ウヌードゥル新聞2007年9月27日付)。
これを受け、国家大ホラル(国会)総会は、2007年9月27日16時30分、3議員資格停止問題を審議し始めた。この時点で、審議定足数ぎりぎりの39人であった。どういうわけか、民主党と市民の意志党は審議をボイコットした(注:民主党会派代表Л.ガンスフは、9月27日、記者会見でその理由を説明しているが、要するに、『野党民主党なしで、与党人民革命党が採決せよ』、といっている[ゾーニー・メデー新聞2007年7月28日付]。これは、「一見」、理由になっていない)。
審議後、秘密投票によって、議員資格停止に賛成しないことが採決された。
この問題の審議を最後に、2007年度春期国家大ホラル(国会)は終了した(以上、ウヌードゥル新聞2007年9月28日付)。
こうした国家大ホラル(国会)議員資格停止問題はかつて、1999年4月9日に起こった。すなわち、国家大ホラル(国会)総会が、カジノ事件に関する汚職容疑で、Д.エンフバータル、Д.バトトルガ、С.バトチョローンの3議員の議員資格停止を決議した。彼ら3議員は、汚職を極めた民主同盟連合政権下の与党議員たちであった。
ただ、この時は汚職の証拠物件がそろい、3議員逮捕の必要が生じたための措置であった。
今回の問題では、議員たちの事件関与を証明するための証拠資料を収拾するために、「議員逮捕」などの措置を必要とする、というのがその理由であった。
上述の2007年9月25日に開かれた議員特権副委員会(注:与野党の長老議員から構成される)は、非公開で審議された。その席上で、捜査の現状が検事総長らによって説明されたが、逮捕するに足る、確固たる証拠物件が不足していたのであろう。そのため、検事総長の要求は退けられた。
もっとも、韓国のカジノで弁済されたお金には名前が記されていない以上(注:冗談ではないが)、たとえ事実であっても、証明が困難である。
つまり、今回の「3議員資格停止」要求は、時期尚早である、といわざるを得ない。
では、それにもかかわらず、なぜ検事総長がこうした問題を提起したのか。
まず、検事総長は、大統領によって任命される。
次に、今回の3議員は、エンフバヤル大統領に敵対している。フレルスフは、「左翼同盟」代表として、エンフバヤルの推進するIMF経済成長路線に公然と反対を表明している。個人的にも、エンフバヤルを非難していた。
バダムジョナイは、М.エンフボルド首相に近い。
ザンダンシャタルは、人民革命党傘下の「民主社会主義青年同盟」の委員長であり、かつて(おそらく今も)、この組織にМ.エンフボルドが参加していた。
また、国家大ホラル(国会)人民革命党会派の会合で、3議員資格停止要求に賛成したのは、シャラブドルジとガンディであった。彼らはエンフバヤル派である。
ここらあたりの事情について、ウヌードゥル新聞のエムジン記者は、「3議員資格停止問題は、Н.エンフバヤルを支持するか、М.エンフボルドを支持するか、の問題である。」と書いている(ウヌードゥル新聞2007年9月27日付)。
上述の議員特権副委員会で、ゴンチグドルジは、この性格を察知し、エンフバヤルの仕掛けに乗らず、国家大ホラル(国会)総会ボイコットを指導したのである。ゴンチクドルジは、よきにつけ悪しきにつけ、民主党随一の政略家である。(2007.09.30)
