ミニバス運転手たちが交通警察署に抗議(2004年04月19日)

2004年4月19日午前7時、「エバトレイド」社のミニバス30台が交通警察署に隊列を組んで乗り付け、自分たちの要求への回答を求めた。午前10時、交渉が開始され、10時30分、両者が合意に達した。団体交渉に参加した運転手の一人は、これは全ミニバスの問題である、と語った(ウヌードゥル新聞2004年04月20日付)。

この抗議・要求書の内容については、ウドゥリーン・ソニン新聞(2004年04月21日付)が全文を掲載している。それを要約すると次の通りである。

「1996年に公布された交通取締法の施行が不完全で、交通警官の官僚主義、賄賂要求が頻発している。我々は、バスおよびマイクロバス従業員の権利を守るべく、以下の要求をする。

1. 交通関係運転手を恣意的に呼び止め、不法な要求をしたり、私的な用件にバス、マイクロバスを利用したり、運転手の運転免許証を取り上げる、などの行為を止めること。

2. 過剰積載の言いがかりをつけ、切符を破棄したり、罰金を徴収することを止めること。

3. 賄賂、官僚主義に抗議したことに対し、嫌がらせをするのを止めること。

もしこれらの要求が受け入れられない場合は、適切な行動をとり、関係機関に訴える。」

ウランバートル市人口が急速に増加し、100万人を越えた。つまり、全モンゴル人口の40%がウランバートルに集中していることになる。その結果、都市環境が悪化する一方で、そのため市当局は、2004年を「ウランバートル・建設の年」と銘打って、環境緑化運動を推進している。

交通事情の悪化は特に深刻で、交通事故の死亡者や負傷者は増加する一方である。交通法規はないに等しく、歩行者は道路横断にも気を遣う。バス・タクシーその他の交通関係従業員は、毎日が交通戦争のさなかにあるかのようである。

こうした事情を背景にして、ミニバスがバスやトロリーバス運行の隙間をぬって、急速に増加してきた(注:これをモンゴルの「隙間現象」とよぼう)。ミニバスは、今やウランバートルに3000台以上が運行しているといわれ、市民の貴重な足となっている。

ただ、交通戦争に等しい状況であるからして、乗客の奪い合い、交通機関運行の障害、といった否定的側面もあらわれてきている。

「2003年・観光の年」というキャンペーンが展開された、昨年(2003年)から、政府・市当局は、交通警官の人数を増加させ、交通取り締まり強化に乗り出した。

だが、これに伴う交通警官の不当な要求行為が頻発してきた。それに抗議して、上の「エバ・トレイド」社運転手による、いわば「交通デモ」が行われたのである。まさに、これは「全ミニバスの問題」なのである。

さらにいえば、資本主義がモンゴルを侵し、様々な(具体的なことはここでは述べない)局面を現出させてきた。これに対し、交通関係従業員たちは、交通法規の厳密な施行要求を盾に、当局に請願・要求する。「ハンガーストライキ」を組織した、「ズールン・エフ」協会被害者たちの行動と軌を一にしている。

このことは、歴史的にいえば、清朝植民地支配期に、牧民たちが「清朝の牧民(=アルバト牧民という)」であることを盾に、「領主(ザサック・ノヨンという)」の不当な不法行為や搾取に抗議し、「牧民運動」を組織してきた。

すなわち、現代モンゴルにも、「牧民運動」の伝統が継承されているのである。(2004.04.25)

トップへ
トップへ
戻る
戻る
次へ
次へ