モンゴルへの直接投資について:概要(2010年12月6日)

モンゴル銀行の発表によると、2010年第3四半期におけるモンゴルへの諸外国による直接投資額は、2009年度第3四半期より8倍に増えた。投資国は、米国、香港、カナダが最も多い(ウヌードゥル新聞2010年12月6日付および電子版)。中国による直接投資は9%となって、米国の25%に追い抜かれた。


(注:ウヌードゥル新聞2010年12月6日付電子版のグラフから:日本語挿入は筆者による)

モンゴルは、中国の経済的影響下にあるのは周知の事実であるが、今年度のこの状況は、何を意味するのであろうか。

中国からの影響が低下したと言うことは考えにくい。中国の対モンゴル投資は、建設、商業、鉱業、道路・運輸、農牧業、観光など、あらゆる分野の及んでいる。この直接投資における網の目を破ることは、現在のところ、難しい。

一方、米国とカナダからの直接投資が激増したのは、オユトルゴイ銅金鉱山への投資によるものである。これに加えて、米国は、「千年試練基金」からの鉄道、教育、保健部門への「介入」が進んでいる。

だが、モンゴルへの米国の影響力が増大するとは、これも考えにくい。今後、中国が投資額およびその分野を拡大させれば、この順位がまた元に戻るだろう。米国は、戦略目標が中央アジアおよびアラブにあるから、モンゴル西部地域(注:バヤンウルギー・アイマグなど)には関心があるが(注:中央アジアとアラブの監視地点として)、モンゴル全地域への関与は意図していないし、その能力も限定的である。

一方、日本は、モンゴルへの直接投資は全体の2%に過ぎないが、今後、米国の代理人の地位から離れ、モンゴルに直接関与する姿勢を露わにしている。(2010.12.12)

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