モンゴルにおける自生的発展の萌芽(2010年10月22日)

モンゴルは、農牧業に加えて鉱山部門をてこにした国家成長戦略をとり始めた。筆者は、これをモンゴルの「自生的発展」と名付けている。最近、これに関連する出来事があった。

2010年10月18日、「電気軌道」社は、「鉄鋼産業連合」加盟13社の従業員と共同で、J800D型「モンバス」を製造して、ウランバートル市で運行する。この「モンバス」は、従来の座席25席と違って、座席数35のトロリーバスであり、電気、ディーゼル、充電の3種類で走行する。当社は今後、ウランバートル市から同型トロリーバス10台の発注を受けている。このトロリーバスは、中国、韓国、およびモンゴルから部品を購入し組み立てられた。走行費は100キロメートルにつき500トグルグ、製造費1200万トグルグであった(ウヌードゥル新聞2010年10月19日付および電子版)


(注:ウヌードゥル新聞2010年10月19日付電子版の写真を転載)

筆者はかつて、同社の技術者が組み立てたトロリーバスの輸出について紹介した。今度のトロリーバスは、かつてのトロリーバスをさらにパワーアップさせたものである。これは、モンゴル人バス組み立て製造専門家の技術水準が高いことを示している。また、この「モンバス」が国内利用されるという点でも、モンゴルの自生的発展の萌芽を示している。

モンゴル最初のコークス化学工業「ЭНК」社は、2005年、ウムヌゴビ・アイマグ、バヤンオボー・ソム、ザイルマグタイに設立され、タバン・トルゴイ石炭鉱山のコークス炭採掘、年産30万トンのコークス精製というように、100万トンの石炭加工能力を持つ企業である。当社は現在、その能力の25%を稼働させている。今まで、精製された10万トンのコークスのうち、5%を国内製鉄所に供給し、残りを中国に輸出している。

しかし、国内の熟練労働者が不足しているため、当社はフル稼働できないでいる。そのため、現在、1040万トンの石炭がをそのまま輸出されている(ウヌードゥル新聞2010年10月20日付および電子版))。

2010年10月20日、政府は、閣議で、「エルデネスМГЛ」社の子会社として、「エルデネス・タバントルゴイ」社を設立し、その資本金を「エルデネスМГЛ」社が拠出することにした。

この「エルデネスМГЛ」社の株式は、国民が10%、国内企業が10%それぞれ所有し、国内外証券取引所で30%の株を売り出す。この資金によって、タバントルゴイ石炭鉱山が開発される(ウヌードゥル新聞2010年10月21日付および電子版)。

2010年10月21日、モンゴルの千年試練基金は、オーストラリアの"Sustainability PTY"とモンゴルの政策研究ーセンターの協力によって、ゴビ地域(ウムヌゴビ、ドンドゴビ、ドルノゴビ、ゴビスンベル諸アイマグ)向け専門労働者研修に関する報告会を開催した。これは、オユトルゴイ銅金鉱山向け労働者雇用を満たすための指針を明確にする目的がある(ウヌードゥル新聞2010年10月22日付および電子版)。

同じく2010年10月21日、先ほどの「ЭНК」社の課題でもあるモンゴル専門労働者育成に関して、専門労働者研修センターの会議が開かれた。モンゴルでは、60企業単位が専門労働者養成を行っている。これに2009〜2010年には4万4600人が加わっている。これを来年度には5万300人に増やす予定である(ウヌードゥル新聞2010年10月22日付および電子版)。

以上、モンゴルの自生的発展の萌芽が徐々にあらわれ始めている。(1010.10.24)

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