
モンゴル製トロリーバスのカザフスタンへの輸出(2009年2月9日)
昨春(2008年)、国営「電気軌道」社がトロリーバスを組み立てて、カザフスタンに輸出する、という報道があったが(ウヌードゥル新聞2008年2月23日付)、このほど完成した。
国営「電気軌道」社が製造したのは、JEA-800F型デュオバス(トロリーバスとディーゼルバス兼用)である。
(JEA-800F型デュオバス。ウヌードゥル新聞2009年1月6日付より)
同型バスは、カザフスタン・ペトロパブロフスク市に2台輸出される(注:6台成約済み)。それに関連して、このほど、カザフスタンの関係者がモンゴルを訪れ、この新型バスに試乗した。
そして、この新型バスは、2月9日に鉄道によってカザフスタンへ搬出される。
「電気軌道」社の技術者によれば、このEA-800F型デュオバスは、500キロメートル走行可能で、時速55キロメートルで走行できる。これは、公共交通基準を満たしている。今後、モンゴル側の専門家が3人カザフスタンに行き、教習予定である、という。
更に、ロシア(イルクーツク市)、トルクメン、ウズベキスタンでも導入予定である。
ウランバートル市交通局は、今後、デュオバス50台を投入する予定である(ウヌードゥル新聞2009年2月6日付)。
さて、このデュオバスの輸出は3つの意義があると考えられる。
第一に、モンゴル・ウランバートル市で走行中のトロリーバスは、市民の足として活躍している。有害な排気ガスを出さないし、急発進をせず揺れも少ないので、安心して乗れる。
運賃は、大型バスの300トグルグに対し、200トグルグ(注:昨年まで100トグルグだった)で安い。
トロリーバスは、時々、架線事故などで故障するが、その時はディーゼル方式に切り替えれば、他の車の走行障害になることもない。一般乗用車の走行の邪魔になっている感もあって、トロリーバスを嫌うモンゴル人もいるが、これは乗用車が交通規則を無視して、我が物顔に無軌道に走行しすぎるからである。
このように、トロリーバス走行は、環境と人間に比較的優しい公共交通である。
(現在、ウランバートル市内を走るトロリーバス。筆者写す)
第二に、このデュオバスを、モンゴル国営バス会社が自国の技術で製造した(=加工した)、という事実が重要である。これを組み立てたモンゴル人技術者たちの技術水準は評価に値する。
モンゴルは、銅・モリブデンなどの鉱物資源を加工せず、そのまま輸出する植民地型経済である(注:最近、ダルハン市では、純銅生産も始まり、自国での利用が始まったが)。
そうではなく、自国の資源を利用して、製品化し、それに付加価値を付けて、自国で利用し、さらに輸出するようになれば、最終的には国民生活が豊かになるであろう。
第三に、デュオバスの輸出先が社会主義を形成していた国々である。これらの諸国は、歴史・社会・文化的状況がモンゴルと類似しているから、このデュオバスは、これらの諸国の民生向上に寄与するでろうことはさておき、これらの諸国との連帯に有益である。
農業面では、昨年(2008年)、С.バヤル政権の「開墾V」キャンペーンによって、「食糧独立」のための動きが始まったが、これは、工業面での「経済的自立」の端緒といえよう。(2009.01.08)
