
メネン平原での石油採掘に反対する地元民の訴え(2010年5月12日)
前回の「モンゴル時評」で筆者は、、モンゴル西部での石炭鉱山採掘に反対する地元民の反対運動を紹介した。今度は、モンゴル東部で石油採掘に対する地元民の反対運動が起こった。今回はそれを紹介したい。
(注:google earth の画像を筆者が加工)
100%中国資本の「ペトロチャイナ・ダチン・タムサグ・モンゴル」社は、ドルノド・アイマグのメネン平原で石油探査・採掘を行っている。現地民はその操業停止を求めて、2010年5月12日、ウランバートル市バヤンズルフ区地方裁判所に提訴した(注:当社はバヤンズルフ区に登記されている)。
「ペトロチャイナ・ダチン・タムサグ・モンゴル」社は、2005年から当地で操業しており、法を遵守せず、環境保全を行っていない。有害化学物質を多量に使用し、それらを無害化していない。
そのため、現地牧民は健康を害している。
ウランバートル市バヤンズルフ区地方裁判所は、この提訴を受理した。
その後、裁判所は、「ペトロチャイナ・ダチン・タムサグ・モンゴル」社が対策を講じ、2週間以内にその回答をするように命じた。
さらに当裁判所は、2ヶ月以内に審理・採決する(ウヌードゥル新聞2010年5月18日付電子版)。
さて、先のフシュート石炭鉱山の場合と同様、本件も外資は中国資本で、環境破壊が提訴理由の一つある。
ここで、モンゴルにおける外資による最近の投資額を見てみると、2005年に約900億トグルグ、2008年に6200億トグルグ、2009年に2億8410万ドル(注:約3兆9700億トグルグ)にのぼっている(ウヌードゥル新聞2010年5月20日付電子版)。
この投資額はGDPの25〜30%に相当する(ウヌードゥル新聞2010年5月20日付電子版)。
モンゴルは、「中央アジアのクウェート」といわれるようになって、鉱山部門への外資の「侵入」が増大している。その結果、モンゴルは、政治経済、民生、エコロジーに悪影響を蒙っている。それに対する地元民の反対運動が高揚しているのである。(2010.05.23)
