
モンゴル鉱山をめぐる内外の最近の動き(2010年2月28日)
これに呼応して、諸外国、国際金融諸機関もまた、モンゴルの鉱山開発に積極的に関与することになった。
そこで、今回の時評では、モンゴル鉱山開発をめぐる内外の動きについて言及したい。
2010年1月時点でのモンゴル鉱工業生産高が昨年度同時期比で15.4%、上昇した(ウヌードゥル新聞2010年2月19日付電子版)。このことは、モンゴルにおける銅、石炭などの産出量増加を示している。
モンゴル政府は、内外投資家に対し、12億ドルの国債を発行する。これは、1)5〜10年償還、2)年利8〜11%、3)鉱山、インフラへの投資向け、である。同様の国債は、インドネシア、フィリピンが発行した。この国債発行は、IMFスタンバイ融資が終了した後、発行される(ウヌードゥル新聞2010年2月18日付電子版)。
これに関し、モンゴル国内では、財政赤字の国内総生産(GDP)比が12.7%といわれるギリシャの「経済破綻」を引き合いに出して、その金融政策を非難する向きもある(ウヌードゥル新聞2010年2月19日付電子版)。すなわち、国債といっても、将来にわたる政府の借金に違いない、という理由で。
また、「アメリカン・インデペンデント・キャピタル・グループ(AICG)」は、ウランバートルに支社を設立する。事業内容は、資本投資の仲介である。その目的は、モンゴルの地下資源開発であり、さらに、モンゴルが「安定した民主主義」のもとにあり、北東アジアの大規模市場に近い、という有利性を考慮したものである、という(ウヌードゥル新聞2010年2月18日付電子版)。
これは、モンゴル法制に対する無知のため成功は難しいかもしれない。
さらに、詐欺事件も起こっている。東京プリンシパル証券が老人たちから2008年12月〜2009年9月までに、100人から(主として老人から)10〜18%の利子を約束して(注:もっとも上記モンゴル国債の条件とそれほど違わない)、500万ドルの投資を募った(ウヌードゥル新聞2010年2月19日付電子版)。
この詐欺事件は、日本でも2月19日、時事通信が「無登録でモンゴル投資募る=100人から5億円超集金か−容疑で業者捜索・警視庁」というヘッドラインで配信した。
このように、内外の実業、虚業がモンゴルを目指している。いずれにしろ、今後、モンゴル鉱工業が世界の注目を集めることは否定できないであろう。(2010..02.28)
