2008年度秋期国家大ホラル(国会)開会(2008年10月1日)

国家大ホラル(国会)議員選挙(2008年6月29日)の結果を受け、2008年10月1日、新しく選挙された議員(注:現在72議員。ウランバートル第25選挙区から選出されるべき残りの4議員名は、選挙後の混乱のため、中央選挙管理委員会がまだ確定していない)によって、2008年度秋期国家大ホラル(国会)が開会した。

その席上、エンフバヤル大統領とデムベレル国家大ホラル(国会)議長が冒頭演説を行った。この両演説は、モンゴルの現状の一端を如実に伝えている。

エンフバヤル大統領の冒頭演説:

С.バヤル連合政権の肯定的側面として、国民のための緊急的課題を分裂することなしに共同で解決できる。

その否定的側面として、連合政権下で、公然、非公然の陰謀、民主主義・人権・自由の否定などが生まれる。

憲法違反の疑いがある(注:憲法および国家大ホラル[国会]法では多数議席を獲得した政党・連合が政府与党となる、と規定している)。

国民の選択と選挙結果を否定するものである。

両党(人民革命党と民主党)が利権を分け合う。

(政府への)監視機能がなくなる。

「国民発展総合戦略」政策(注:エンフバヤル大統領提唱)に目を向けるべきである。

鉱山部門において、株式所有比率は、エルデネト合弁企業型(注:モンゴル政府とロシア政府の所有株式比率51%:49%)を適用すべきである。

全公務員が「責任」を持つことが必要である。

選挙法の精緻化が必要である(注:今回の大選挙区制度の下で混乱がみられた)。

政府が物価値上がり阻止政策(注:現在、インフレ率が34%であるといわれる)と食糧の安全対策を講じるべきである。

7月1日の「騒乱」を再び繰り返してはならない。

「責任ある民主主義」を確立させる必要がある(ウヌードゥル新聞2008年10月2日付)。

デムベレル国家大ホラル(国会)議長の冒頭演説:

政府高官および国家大ホラル(国会)議員の無原則な行動(注:私利私欲、汚職行為のことをさすと思われる。デムベレルは清廉な政治家として知られる)が目立つ(ウヌードゥル新聞2008年10月2日付)。

この両演説は、1)鉱山部門をテコとするモンゴル発展戦略、2)物価対策、3)政府高官の綱紀粛正、4)真の民主主義(「責任ある民主主義」)の確立、といった、現代モンゴル政治・社会・経済において解決するべき緊急課題が語られている。

筆者は、これらを否定するものでは決してないが、1)IMF路線の踏襲(すなわち拙速な資本主義)によって生まれた「貧富の差の拡大」をなくし、2)モンゴルの歩んできた歴史・伝統に基づく社会の形成・発展、といった視点がより重要であると思う。(2008.10.05)

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