
労働組合連合による物価値上がり反対のデモ集会(2008年9月11日)
労働組合連合(議長С.ガンバータル)は、2008年9月11日、公務員給与と年金額の引き上げを要求して、スフバータル広場でデモ集会を開いた。
「物価値上がりに反対」、「国民が飢え、病弊している」、「健康で安全な生活を保障せよ」、「科学部門への国庫扶助が必要である」などのスローガンを掲げていた。
ガンバータル議長談:給与と年金額引き上げによって物価上昇になるというのは真実ではない。石油世界価格が下落している時に、モンゴルでは上昇しているのは、6、7社ほどの国内石油販売会社が国内販売市場を独占しているからだ。こうした状況を打破すべきである。そのために政府を監視しなければならない。
参加したスフバータル区の住民:年金額の引き上げを求める。連合政権を作って物価上昇を阻止せよ。(エルベグドルジは7月1日の騒乱を引き起こした張本人である)。
小児科医:物価上昇に反対する。モンゴル国民と医療関係者の給料が低い。ガンバータルを支持する。
老齢者:生活が苦しい。国民の生活を改善しようとしてくれる政治家がいない。
教師:給料の引き上げを要求する(ウヌードゥル新聞2008年9月12日付)。
モンゴル労働組合連合は、組合員数約20万人の組織であって、2007年6月15日、議長にС.ガンバータルが選出されてから、行動が積極化した。
というのは、ガンバータルは、元来、「急進的改革」運動を指導していた。同運動は、2006年8月28日、その他の37の市民運動体と合体して、「民族ソヨンボ」運動になった。
市民運動のうち、「健全な社会のための市民運動」(代表バトザンダン)は、政党化して、「市民運動党」となり、緑の党と「市民連合」を結成し、2008年6月29日の国家大ホラル(国会)議員選挙に出馬した。
その結果、「緑の党」党首Д.エンフバトは当選を果たしたが、「市民運動党」のバトザンダン、マグナイたちは、選挙結果に対する不満から、7月1日の「騒乱」を引き起こした。
一方、ガンバータルは、2006年5月8日、政府が設立した「鉱山法」改正案作成グループに、市民運動側から参加し、「鉱山法」改正作業を行った。
彼は、単純な反対と破壊を旨としているわけではない。
今回のデモ集会の要求は、現代モンゴルの矛盾を十全に把握しているものとなっている。すなわち、1)物価値上がり、2)モンゴル国民の貧困状態、とくに、教師、医者、年金生活者の生活苦、3)政府指導層の無策などの(注:筆者は、これに国際「援助」機関および国家の干渉を付け加えたい)改善を要求しているのである。
今後、事態の推移が注目される。(2008.09.14)
(追補)2008年9月18日、労働組合連合、政府、経営者の三団体が会談した。Л.ニャムサムボー(経営者側)は、公務員給与引き上げを批判した。これに対し、С.ガンバータル(労働組合連合側)は、搾取を止め、安定した成長が必要であって、国民生活が悪化しているから、政府がそれを改善すべきである、と述べた。С.チンゾリグ(政府社会保障労働省副大臣)は、労働組合連合側の要求を受け入れて、給与引き上げを検討する、と述べ、さらに、(物価値上がり対策として)新(連合)政権が輸入品量の制限を検討する(注:物価値上がりの主要な原因として、国内生産が行われていないことがある)、とも述べた(ウヌードゥル新聞2008年9月19日付)。
資本主義に幻惑されている一部の政党(注:複数)が「政党本部襲撃」という政治的遊戯をしている間に(注:7月1日の「騒乱」)、労働組合側は、着実な成果を勝ち取っていく。С.ガンバータル(労働組合連合議長)は、モンゴルに必要な人材である。(2008.09.21)
