
商工省が第1回鉱山部門投資家会議を開いた(2007年01月31日)
モンゴルの鉱山部門は、GDPの20%以上、工業生産高の65.4%、輸出額の74%、国家予算歳入額の20%以上を占めている。
ジャルガルサイハン商工相は、2007年1月31日、記者会見を行い、鉱山採掘の準備が整った鉱床を、自国で開発するという前提の基に、現実にはそれが不可能であるから、外資の力で開発したい、と述べた。
その主旨の基で、商工省が、1月31日、ウランバートル市で第1回「鉱山部門投資家会議」を開いた。これに応じて、露、中、日、独の14企業代表が参加した。
その席上、銅(ツァガーンソバルガ、オユトルゴイ)、鉄(トゥムルテイ)、コークス炭(タバントルゴイ)、ウラン(マルダイ)などを結合した「重工業建設計画」が発表された。
(ウヌードゥル新聞2007年02月01日付掲載図を補正)
そして、内外投資家に対し、そのための「インフラ建設」が要請された。
その際、新「鉱山法」により、鉱山利用権はモンゴル国籍の企業に限定される(以上、ウヌードゥル新聞2007年02月01日付)。
実は、この「鉱山業を主導とする重工業振興計画」は、政府の1省庁の提唱によるものではない。
これより先、エンフバヤル大統領は、2007年02月01日、テレビ演説をし、「鉱山業を先導とする開発戦略」を提唱していた。
その概要は、国家資金によって探査した鉱山を、外資によって短期間に採掘し、その収益の50%以上をモンゴル政府が取得する。その収益金を基に加工業を興す。さらに、プールしたその剰余金の一部を国民に均等に分与する。こうして、2021年までに、モンゴル人の一人当たりGDPを1万5000ドルにする、というものである(それについて、エンフバヤルは、ウヌードゥル新聞[2007年02月02日付]のインタビューで再説している)。
この計画は、1)牧畜業の発展を基礎に国家発展を目指すのではなく、また、2)中小企業振興によるモンゴル国民による「小経営」の発展を基礎にするのでもなく、さらに、3)ホルショーの創設による地方産業の発展に依拠するのでもない。
いわば、第4番目の国家発展計画と言うべきものである。
また、2021年までの(注:この年はモンゴル人民革命100周年に当たる)長期的な視野での壮大な計画である。ただ、実現可能性が問題になるところである。
国家が鉱山採掘に資本参加しその収益を取得する割合が「50%以上」である(注:しかもこの「50%」の資金は外資からの融資によるという。この意味は外資が「全額」出資と言うことである)。これは、「新鉱山法」の「外資が全額出資の場合34%まで」というのを超えている。ハゲダカのような外資企業がただでさえ「新鉱山法」を忌避しているのに、それ以上の悪条件(外資から見れば)のもとで、この計画に参加することはないであろう(注:日本企業のなかで意欲を見せているものもあるが、実現させるのは困難であろう。モンゴルにとってその方が良い)。
やはり、資金は自前で、外国からの資金を導入するのであれば、ひも付きではないものによって(注:そのようなものはほとんどないが)、国家発展をはかるべきであろう。
その前提として、憲法で明示する地下資源の「国有」を堅持し、「国家の強力な監視と指導」が必要であることは言うまでもない。(2007.02.04)
