
ジャルガルサイハン商工相解任(2007年02月06日)
М.エンフボルド政権下のグンダライ保健相解任とオドンチメド社会保障労働相辞任に続いて、ジャルガルサイハン商工相が解任された。
グンダライ議員(国民党)は、2007年2月1日、ニャムドルジ国家大ホラル(国会)議長に対し、ジャルガルサイハン商工相解任要求書を提出した。
これを受け、国家大ホラル(国会)経済常任委員会は、2007年2月2日、この問題を話し合った。11委員の内7委員が解任に賛成した。だが、総会での審議に入る際、民主党会派が出席せず、定足数不足で、総会審議が2月6日まで延期になった(ウヌードゥル新聞2007年02月03日付)。
この間、共和党政治評議会は、2007年2月4日、記者会見を行い、ジャルガルサイハン商工相解任は、М.エンフボルド政権を崩壊させることになる、と警告した(ウヌードゥル新聞2007年02月05日付)。
こうして国家大ホラル(国会)は、週明けの2007年2月6日火曜日、グンダライ議員要求によるジャルガルサイハン商工相解任問題の審議に入った。
ところが驚くべきことに、グンダライは、ジャルガルサイハン解任問題を一時凍結にしたい、と発言した。
各種新聞報道によると、経済常任委員会での解任採決の後、ジャルガルサイハンとグンダライは、密かに会い(ソウル・レストランだと言われている)、ジャルガルサイハンがグンダライを「説得」したらしい。
ニャムドルジ議長はグンダライのこの発言に怒り、「議会を愚弄するものだ」として認めず、彼の職権で採決に入り、出席議員44人のうちの29人の賛成(65.9%)で、ジャルガルサイハン解任が承認された。
なお、これも驚くべきことに、この審議と採決にМ.エンフボルド首相は参加していなかった。
ジャルガルサイハンは、解任決定後の記者会見で、解任理由の大きな部分は、「ダルハンのトゥムルテイ鉱山の採掘権取り消し」と「カナダ国籍の3社の採掘権取り消し予定」が、何人かの政治家の不満を引き出した(注:これに関わっている議員がいることを示唆している)、と述べた。彼は、この解任によって、「外資の資金援助による全国電力化計画が頓挫するだろう」、と述べ、さらに、採決を強行したニャムドルジ議長を非難した(ウヌードゥル新聞2007年02月07日付)。
ところで、ニャムドルジ国家大ホラル(国会)議長は、2007年2月9日、記者会見を行った際、ジャルガルサイハン商工相解任問題に関する記者の質問に対し、経済常任委員会での審議において、ジャルガルサイハンがグンダライに対し、多くの文書を示し「脅した」ことに、心証を悪くしていたことを明らかにした(ウヌードゥル新聞2007年02月10日付)。
これら一連の閣僚解任・辞任劇に対し、ジャーナリズムはいろいろな説明や憶測をしている。
だが、これらに共通するのは、単に「私怨」と「2008年の選挙戦術」のみである。
グンダライ解任は、「保健部門混乱の責任」と「閣僚としての不適切な行動」を問題視した、М.エンフボルド首相によるものであった。民主党は、「2008年選挙戦術」としてその「解任」に反対した。
オドンチメド辞任は、民主党のЗ.М.エンフボルド議員らによる「私怨」(注:自分たちの「労働者派遣所」が閉鎖されたこと)によるものであった。民主党は「選挙戦術」として「解任」に賛成していた。
そして、グンダライによるジャルガルサイハン解任要求は、グンダライの弟がジャルガルサイハンによって職を追われたことに源を発していた。彼による3項目の解任要求理由は、ほとんど根拠がないものになっていた。その主要な理由の一つは、ジャルガルサイハンが日本の「ダイツキ」に鉱山採掘権を与えた、というものであったが、その後、「ダイツキ」はモンゴル人社長であることが判明した。
それでも、ジャルガルサイハン解任に多数の議員が賛成したのは、彼の日頃の行動が議員の資質として不適切である、という「私的」な理由からであった。
ひるがって、М.エンフボルド政権解散要求も、首相を解任されたエルベグドルジ民主党党首の「指令」によるものであった。
このように、「公的場面に私的利得をむき出しにする」国民も珍しい。モンゴル人がもう少し成長しなければ、国際的な評価は得られないであろう。
ただ、こうした「茶番劇」の一方で、2007年2月4日、ウランバートル市民による「市民フォーラム」が結成された。
Д.エンフバト同フォーラム代表は、「モンゴルで快適に生きよう...17年前の民主革命(注:モンゴル民主化運動のこと)が現在どのようになってしまったのか自問すべきである。...仕事が外国人の手に、酒がモンゴル人の手に(いっている)。...拝金主義、飲酒、不正な選挙が広がっている」、と呼びかけた。
М.イチンノロフは、「政治を監視する必要がある」、と述べた。
Ц.ムンフバヤル「オンギ川運動」代表は、不正な鉱山採掘権取得問題を訴えた(ウヌードゥル新聞2007年02月05日付)。
このように市民運動が相次いで起こっている。確かに、「モンゴル民主化運動」の思想と行動に立ち返る必要があるかもしれない。(2007.07.11)
(追補)人民革命党幹部会は、2007年3月19日、(М.エンフボルド政権)商工相に共和党推薦のЦ.ダバードルジを任命することを決定した(ウヌードゥル新聞2007年3月20日付)。(2007.03.25)
(追々補)国家大ホラル(国会)は、2007年4月20日、商工相にЦ.ダバードルジが就任することを承認した(ウヌードゥル新聞2007年4月21日付)。(2007.04.22)
