
イェルーとフデルの鉄鉱床採掘権取り消しが最高裁で確定(2007年02月13日)
最近、「地下資源はモンゴル人への贈り物」(エンフバヤル大統領)という見方が普及し、この地下資源をどのように利用するかと言うことが議論の的になっている。
この議論の背景の一つには、「不法な地下資源の採掘」という現実がある。これには、「ニンジャ」と言われる個人採掘業者から外資系企業に至るまで関係している。
今回の時評で採り上げるのは、「採掘した未加工の鉱物資源の無税による輸出」、という「不法」行為についてである。理論的に言えば、これは、「モンゴル国有の地下資源の奪取」、ということになる。
セレンゲ・アイマグのイェルー・ソムとフデル・ソムにまたがっている、トゥムルテイ鉄鉱床(注:国家資金によって探査が行われた)の鉄を採掘し、選鉱する(注:ダルハンの冶金工場によって行われる。ウランバータル・ポスト新聞2007年02月15日付参照)という当初の契約を守らず、採掘した鉄を直接中国に無税で輸出していた企業が、2006年9月8日、商工省鉱山局によってその採掘権を取り消された。
この企業(注:ВЛТ社とトゥムルテイ鉄鉱業社)は、これを不服として、行政最高裁判所まで順次上訴していたが、2007年2月13日、最終的にその採掘権取り消しが確定した。
これには、市民運動が(注:「我がモンゴルの地」運動のこと。ゾーニー・メデー新聞2007年02月15日付参照。なお、この運動は「新鉱山法」制定に尽力した故О.エンフサイハン議員の創設したものである)抗議行動を起こして、商工相鉱山局の監査にもオブザーバーとして参加し、立ち会っていたことが、その違反行為を暴露するのに寄与していた(ウヌードゥル新聞2007年02月14日)。
一方、市民の意志党は、ボルガン・アイマグの16ソムで、「国民の声を聞く」運動を展開した。このほど(2007年2月13日)、同党副党首Ц.ガンホヤグや「影の内閣」環境相Д.ウルジーサイハンたちが記者会見でその結果を報告した。
それによると以下の通り。
ボルガン・アイマグは、人民革命党が16ソムのうち15ソムで多数派を形成している。ボルガン・アイマグ選出人民革命党議員のツェンゲル、ラドナーの選挙公約である、「韓国へ20人以上労働者を派遣」に応じ、その支度金を作るために多くの若者が担保を出して借金し、無一文になり、その返済に追われている。
中国資本による製材業者が、不法に樅の木を伐採し、自然環境を破壊している。
政府の「各選挙区に2億5000トグルグ支給」政策によって、役人がその一部を詐取する動きがある(ウヌードゥル新聞2007年02月14日)。
さて、この二つの事態に共通するものは、市民運動が単に「街頭でのはでな示威行為」に終わらず、地道にモンゴル国民の国益のために「闘っている」ことである。
市民の意志党は、市民運動に共同する姿勢を強めている。「国民の声を聞く」運動は、こうした姿勢の表れである。
最近、モンゴルの政治学者たちや政界関係者は、第三勢力はモンゴルに不要である、と主張しているが、こうした地道な運動は、第三勢力がモンゴルでは「必要不可欠」である、ということを証明しているのである。(2007.02.18)
