
2006年度春期国家大ホラル(国会)が始まった(2006年04月05日)
2006年春期国家大ホラル(国会)が、2006年4月5日、始まった。
今国会では、「鉱山法」改正および、それとセットになっている「税制一括法案」が審議される。1997年に制定された「鉱山法」は、外資に5年間免税などの優遇措置が盛り込まれている。そのため、最近、モンゴルの地下資源を国民のものに、という市民運動が起こっている。
実際、今国会開催日の2006年4月5日、「急進的改革」運動、「健全な社会のための市民運動」などが、政府官邸前で、
アイバンホー・マインズ社との「自動継続契約」に反対してデモ集会を開いている(ウヌードゥル新聞2006年04月06日付)。
こうしたことを背景にしているため、今国会はМ.エンフボルド首相の開会冒頭演説は行われず、最初に演説した、ニャムドルジ議長も、「おしゃべりを少なくして、大いに働くべきである」、と述べた。
首相演説がない、というのは異例のことで、2000−2004年議会では、少数野党であった民主党議員グンダライが冒頭演説の権利を求めて(注:現在の国家大ホラル(国会)法では、8人以上の議員を有する議会会派が冒頭演説をする権利を有する、とされている。当時、野党民主党は2人であった)、冒頭演説をしていた当時の首相(エンフバヤル)の後ろで、プラカードを掲げていた。
実際、その冒頭演説は、政府、与野党の政策や主張が盛り込まれていた。われわれモンゴル現代史を研究する者にとっても重要な資料となってきた。
エンフバヤル大統領の開会冒頭演説でも(要約)、「国民のかなりの部分が失業と貧困状態にある。発展のための首尾一貫した政策によって貧困をなくす必要がある。そのため「鉱山法」改正は最重要である。だが、モンゴルは外国の支援が欠かせない(ウヌードゥル新聞2006年04月07日付)」。このように「鉱山法」改正について言及した。
第二に、М.エンフボルド政権が予算措置を執った、1)公務員給与30%増額(注:これは施行された)、2)5万3000トグルグ最低賃金、3)基礎年金額2万0480トグルグ支給、4)18歳までのすべての子供一人につき月額3000トグルグ支給、5)新生児に1回限りで10万トグルグ、新婚家庭(35歳までの)に1回限りで50万トグルグ、6)省の規模を5〜10%縮小、7)幹部職員の交通費10%削減(ウヌードゥル新聞2006年04月06日付)、という諸政策が議会で承認されるかどうかが焦点になる。
この政策は、ポピュリスト的な人気取り政策である、という批判はあるものの、国家予算歳出額の削減(特に社会保障費)を「指導」(=強要)する、IMFプランと対決する内容となっている。
そうした意味で、今国家大ホラル(国会)の審議は注目されているのである。(2006.04.09)
