
人民革命党執行委員会、分派を承認(2005年12月12日)
周知のように、人民革命党は、現在のエルベグドルジ「大同盟」政府の一角を占め、モンゴルにおける主要政党の一つである。この政党の党員数が2004年時点で13万1000人と言われていた(モンツァメ通信電子版2004年02月12日)。
ところが、世銀およびサンマラル基金による、最近の世論調査によれば、人民革命党の支持率が10−20ポイント下落している(ウヌードゥル新聞2005年12月01日付)。ということは、同党支持率が20%台だと言うことだ。
その背景を探る上でも、また現在の政治情勢を考える上でも、2005年12月12日に開催された、人民革命党執行委員会(小会議)が注目されていた。
この会議では、分派承認問題が焦点となっていた。開催前に、新聞紙上では、1)人民革命党大会で、「分派承認に(党大会での)50%以上の賛成」条項を、「執行委員会で委員の4分の1の承認」に変更するかどうかが、新党首М.エンフボルトの指導力に影響を及ぼす。2)党内人事問題も大きな位置を占めている(=能力ではなく財力によって党内人事が行われている)、と報道されていた(ウヌードゥル新聞2005年12月13日付)。
そのМ.エンフボルドによる執行委員会報告の内容は、1)分派問題、2)2004年国家大ホラル(国会)議員選挙の責任問題、2)2005年度経済成長率が5.5%に半減(昨年度は10.6%)、3)エルベグドルジ政権の人気取り政策、4)デモ行進、集会の起こる原因(収賄、土地・採掘権認可や保健・教育に関する決定などの歪曲、貧富の差、公務員の官僚主義、不公正、税金の高負担や融資[返済]・経営の圧迫)、5)汚職問題と人民革命党(の関わり)、6)分派問題(「伝統・革新、民主主義・公正」グループが公開書簡を送付し、党内意見の多様性、公開性、建設的批判、公正な党内人事を要求していた)、などであった(ウヌードゥル新聞2005年12月13日付)。
この報告内容が人民革命党の現状把握を示しているが、その大部分は正鵠を得ているといえよう。
特に注目された、分派承認問題に関しては、その会議の席上、ニャムドルジ(国家大ホラル議長)が、「伝統・革新、民主主義・公正」グループの代表θ.エンフトゥブシンに向かって、「アイマグ、地方で同グループの支部を作らず、党内問題をメディアを通じて持ち出さないなら、同グループを認めよう」、と提案していた。
人民革命党の有力党員であるニャムドルジのこの発言が契機となって、人民革命党執行委員会は、「伝統・革新、民主主義・公正」グループの存在を、無記名投票によって40.8%の支持率で承認した。
ちなみに、θ.エンフトゥブシンの「伝統・革新、民主主義・公正」グループは、これまでに形成された3番目のグループであって、1993年のЦ.ガンバト、1996年のТ.ガンディに続くものであった。
これと軌を一にして、Г.ザンダンシャタルは、30人以上の青年からなる、「人間のための経済改革」グループ結成を宣言した(以上、ウヌードゥル新聞2005年12月14日付)。
党内で議論を尽くし、異なる意見を持っていても党決定に従う、という原則を語っていた、人民革命党党首М.エンフボルド(ウヌードゥル新聞2005年12月08日付)としては、かなりの譲歩であろう。
この原則は、これまでエンフバヤル前党首(現モンゴル国大統領)によって堅持されていた。その原則が崩されたのは、1)前記の人民革命党支持率の低下、2)グンダライ新党(=国民党)結成への対応、3)人民革命党が「社会主義インターナショナル」に正式に加盟し、この国際組織が分派の存在を認めるように勧告していたこと、などがその背景として考えられる。
人民革命党が
党名改称問題を含めて、今後どのような方向に向かうのか注目される。(2005.12.18)
