米国大使館付近でハンスト決行(2003年12月15日〜)

米国大使館付近でハンストが決行された(12月15日)。「残念ながら(?)」、国際的によくある反米行動ではない。参加者のほとんどは何らかの事件の被害者であって、その大半は、「ズールン・エフ協会」事件関係者である。

この事件は、「ズールン・エフ協会」(理事長ツェレンデジド)が日本の業者とタイアップし、モンゴル人を日本に派遣する、と偽って、124人から3500ドル集めた、というものである。ストライキは当初は解放広場で予定されていたが、警察によって禁止されたので、米国大使館付近に変更したものである。参加者は73人で、うち妊婦3人、高齢者7人を含んでいる。

これまで、彼らは、「ズールン・エフ協会」に対し、集めたお金を返却するよう要求していた。理事長ツェレンデジドは、その交渉に現れず、姿をくらました。3ヶ月後、日本側は契約を取り消した。

絶望的になった彼らは、こうしてハンストを決行したのである(ウランバートル・ポスト紙[電子版]2003.12.18、なお、同じ記事をモンツァメ通信は2003年12月23日に配信している)。

筆者は、このハンストの行われている場所に行ってみた(12月28日)。うちひしがれたように見える8人くらいの人々が横たわっていた(気温は−20℃くらい)。写真を撮るのがちょっとはばかられた。ただ、残念なことに、このハンストは、一部の人権擁護団体を除いて、余り注目されていない。モンゴル市民の中には、彼らのハンストの理由がわからない、という人もいた。

このようなハンストについては、かつて「社会保障・労働省前でハンストを行っていた6人がハンストを中止した(2002年05月01日)」で論評した。その背景は今も変わらないので、そちらを読んでもらいたい。

ただ、以前と少し様相を異にするのは、新聞雑誌に広告を出して、関心のあるものを募集する、という点である。確かに、ウランバートルでは「広告新聞(売ります、買いますなどの)」がよく読まれているようだ。

これと関連した事件が、12月中旬に起こっている。それは、モンゴル女性7人を日本に派遣する、というふれこみの外資企業による不法行為が、警察関係者によって摘発されたものである。

この企業は、Ж(50才くらい、妻と息子1人)によって2年前に設立された。名目は、自動車修理、内外貿易である。この企業経営者は、「それを隠れ蓑にして」、旧「オド」映画館2階に事務所を構え、女性を「調査」し、「あらゆる種類の情報をファイルにしていた」。これは、「国家安全保障に悪影響を及ぼす行為」である。

この企業は、1年間は、自動車修理を営業していたが、2年目に入り、「20−25才の容姿端麗な女性を募集します。外国人と結婚させます」、という広告を新聞雑誌に出し、数百人の女性がそれに応募し、登録された。

そして、日本の深夜営業店で就労させることを企て、モンゴルに来た日本人によって、面接が繰り返された。その後、日本に派遣する(日本での月給は400ドル)、というものだった。

こういった広告を規制する法律は現在、モンゴルにはない。

Жは、モンゴルに来る前はロシアでビジネスをしていたが、ロシア政府によって文書偽造罪で国外退去処分を受けていた。

そのЖ曰く、「女性たちが自ら望んでいることであって私には罪はない」。

政府当局が、各女性から300ドルを集めたのを返却し、募集を中止するよう、Жに勧告した。これを知って、日本人は契約を解除した(ウヌードゥル新聞2003年12月23日)。

ウランバートル市の人口が実質的に100万人を突破し、その結果、情報を求める者、それを悪意を抱いて利用する者が出現してきている。モンゴル人は一部はいるが、本来そんなに狡猾ではなかった(もっとも上の事件は外国人によるものだが)。外国人による悪影響でモンゴル人の倫理が汚されていく。今回の事件では、日本人のどん欲な金銭欲と好色性がそれに輪をかける(外国人である日本人もこの事件では同罪である)。

比較的良識のある新聞である、「ウヌードゥル新聞」は、「詐欺広告には注意しよう」、と呼びかけている。そうするのが精一杯の、ウランバートルの現状である。(2003.12.31)

(追補)この企業は営業停止処分になり、Жに対しモンゴル退去命令が出される予定である(ウヌードゥル新聞2004年01月08日付)。(2004.01.11)

(追々補)彼は韓国人である。ちなみに、外国人犯罪者数で一番多いのは、中国人であって、次いで、順に、ロシア人、韓国人、米国人、日本人、ベトナム人、ハンガリー人となっている(モンツァメ通信2004.0212)。(2004.02.16)

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