「ロスネフティ」によるガソリンスタンド100カ所建設要求問題(2008年05月06日)

С.バヤル首相は、2008年4月10〜13日、ロシアを公式訪問した。その結果、「モンゴル・ロシア共同行動宣言21か条」(モスクワ市、2008年4月13日)に両国が署名をした(ウヌードゥル新聞2008年4月15日付)。

それには、「モンゴル鉄道(注:モンゴル・ロシア合弁企業)改善」、「農牧業振興」、「東部アイマグでのウラン鉱開発・精錬加工」などの分野で、両国が共同事業をすることがうたわれている。

最近、モンゴルで物価値上がりがモンゴル人の生活を圧迫している。その原因と考えられているものの1つに、原油価格の値上がりがある。

モンゴルは、石油供給をほぼ100%近く、ロシアからの輸入に依存している(注:その他、中国から少々)。

このロシアからの石油輸入について、С.バヤル首相は、ロシア訪問時に、世界市場価格に比較して安価な価格での輸入と引き替えに、「ロスネフティ」石油販売会社(注:ロシア政府所有株75%、個人所有株25%)がモンゴル国内に100のガソリンスタンドを設立する計画をロシア側から提案された。

もっとも、国内石油販売会社の方は、1)(ガソリンスタンドの)有利な販売場所はすでにないこと、2)ガソリンスタンド建設に時間がかかること、などの理由で、ロスネフティのモンゴル進出に首をかしげている(ウヌードゥル新聞2008年5月7日付)。

С.バヤル首相は、帰国後、国家大ホラル(国会)に、この計画案を提出した。

一方、民主党は、2008年5月6日、この計画案に反対を表明し、審議をボイコットしている(ウヌードゥル新聞2008年5月7日付)。

民主党の主張は、現在、国内石油販売会社(注:「ペトロビス」、「アルトジン」、「ジャスト」、「ションフライ」、「ソド・モンゴル」、「MT」など)が建設したガソリンスタンド(注:2700カ所ほどあると言われる)に対して、石油輸入価格値上がり分に対して、政府が補助金を与えよ、というものである。

この主張は、当面の問題解決には有効であろう。

だが、根本的な問題解決の一つは、モンゴルで石油を採掘し(注:その可能性は100%ある)、精製加工することである。

そのための試みが進んでいるが、その一つのプロジェクトは、「オヨニ・オンドラー」社(注:オトゴンバヤル祖国党議員が実質的に所有する)がカナダと香港からの投資によって、ウランバートル市ナライフ区(注:オトゴンバヤル議員の選挙区)に、石油採掘精製工業を建設する案である。

貿易産業相と自然環境相、および税関は、この案を認めていない、という(ウヌードゥル新聞2008年5月8日付)。

だが、モンゴルは、この「経済独立」問題について、真剣に取り組むべきであろう。(2008.05.11)

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