ダルハンオール・アイマグの環境汚染問題で政府が調査団派遣(2007年05月18日)

ダルハン・オール・アイマグ(注:県に相当)ホンゴル・ソム(町に相当)で環境汚染問題が起こった。





ホンゴル・ソムにある"Minch"社(注:アルヒ[モンゴル・ウォッカ]醸造工場、社長Б.バトボルド)は、ハラー川から2キロのところにあり、また、その敷地は、ホンゴル・ソムの住民5405人のための飲料用水地に隣接している。

当社は、2007年3月、アルヒ醸造の操業を停止し、その工場建物および土地を中国人2人に賃貸した。

彼らは、手作業で金採掘を行う、いわゆる「ニンジャ」と呼ばれている人々で、採掘した金の洗浄にシアン化ナトリウムおよび水銀を用いている。この化学物質の輸入は厳重に管理されているが、彼らはこれらを不法にモンゴルに搬入した。

この中国人たちは、賃貸した"Minch"社建物および敷地内で、採掘した金の洗浄を行い、その土壌を敷地内に放置した。そのため、その土壌に含まれる有害物質が地下に滲入し、飲料水用地や井戸を汚染した。また、その土壌が風にあおられて、ハラー川に入り込む懸念がある。

2007年4月24日、その水を飲んだと思われる牛2頭と羊1頭が死んでいるのが発見された。また、住民の健康が悪化して、当地の診療所で健康診断を受ける人々が多くなった。病名はシアン化ナトリウム中毒であった。

この"Minch"社は、もともとホンゴル・ソム長Б.バトナランが所有していたもので、彼がソム長に就任したので、会社名義を弟のБ.バトボルドに移したものである(以上、ウランバートル・ポスト新聞電子版2007年5月10日付、ウヌードゥル新聞2007年5月7日付)。

この2人の中国人は逮捕され、"Minch"社社長Б.バトボルドおよび実質的な所有者Б.バトナランの刑事責任が浮上している。

このダルハンオール・アイマグ、ホンゴル・ソムの環境汚染問題について、災害対策担当相(С.オトゴンバヤル)、保健副大臣(А.オトゴンボルド)たちは、記者会見を行い、現在、当地では、環境復旧作業を行っている、と述べた(ウヌードゥル新聞2007年5月17日付)。

さらにこの問題を重視したМ.エンフボルド政権は、建設・都市整備相、環境相、保健相副大臣、災害対策担当相(団長)の4人の閣僚からなる調査団をダルハンオール・アイマグ、ホンゴル・ソムに派遣した(ウヌードゥル新聞2007年5月18日付)。

金、銅、蛍石など、あらゆる地下資源にめぐまれたモンゴルでは、外資を中心とする鉱山会社や、「ニンジャ」(個人採掘業者)が鉱物資源の採掘を行っている。だが、それらの企業および業者は十分な環境保全対策をとらないまま操業し、また、国および地方自治体は環境保護のための監視をなおざりにしている(予算などの関係上)。

だから、このような環境汚染問題は今まで、トゥブ・アイマグのザーマル・ソムなど各地で起こっている。それに反対する住民の(牧民の)反対運動も強まっている。

地下資源の国有を憲法で明記するモンゴルで、あくなき利潤追求をこととする外資企業やそれに影響された業者らの「悪行」には、十全の監視が必要である。(2007.05.20)

(追補)上記調査団の保健副大臣(А.オトゴンボルド)が明らかにしたところによれば、重病人が約40人であり、牛乳への汚染や農産物への影響も心配される。また、災害対策担当相(С.オトゴンバヤル)によれば、水銀は通常値の6〜120倍、シアン化ナトリウムは1000倍であった。シアン化ナトリウム中毒症状患者は190人を数える(ウヌードゥル新聞2007年5月21日付)。(2007.05.22)

(追々補)また、トゥブ・アイマグのボルノール・ソムでも、「アナンダ・インターナショナル」(中国との合弁企業)が金採掘した後の土壌から、シアン化ナトリウムが検出された。当社は、昨年から土壌汚染対策を行っていなかった(ウヌードゥル新聞2007年6月1日付、電子版では2007年6月2日付)。(2007.06.03)

(追々々補)セレンゲ・アイマグのバヤンゴル・ソムからもシアン化ナトリウムが検出された、との報道がある(ウヌードゥル新聞2007年6月5日付)。(2007.06.07)

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