大学授業料値上げに反対して学生連合が抗議集会(2006年09月11日)

日本ではかつて1960年代から1970年代にかけて、大学授業料値上げに反対して、学生たちが反対運動を繰り広げてきた。それから40年後、モンゴルでもこのような傾向が現れ始めた。

「モンゴル学生運動」の若者たちは、2006年09月11日、モンゴル国立大学2号館南側の広場で集会を持った。

そのスローガンは、「教育ビジネスを止めよ」(注:大学は免税措置を受けている。大学がそれを利用してレストランや観光施設経営その他の企業活動を行っている)、

「国有建物をわれわれのお金で建設することに反対する」(注:モンゴルの国立大学は施設建物が国有であるが、経営は学生からの授業料によって行っている)、

「汚職した学長を告訴せよ」、

「(われわれは金銭)支払い機械ではない」、

「エルデネバータル大臣よ、学生の集まる場所を略取するな」(注:科学技術大学では地方出身学生のために学生寮を建設しようとしていたが、その用地が高額な資金提供を申し入れた中国人に売り渡された。学生たちはこれを許可しないように自然環境相エルデネバータルに申し込んだが、エルデネバータルは腰が引けている)、

「З.エンフボルドが教育に介入するのを止めよ」(注:З.エンフボルド民主党出身国家大ホラル[国会]議員は科学技術大学理事会理事長で、かつて国有財産委員会委員長だったとき、同大学学長を解任し、現学長を就任させた。また、今回の授業値上げ[50万トグルグから70〜80万トグルグへの値上げ]を主導した)、

「教育文化科学省よ仕事をしろ」、というものだった。

すなわち、彼らは、授業料値上げ反対、学生寮建設用地取り上げ反対、などを主張していた。

この集会には、モンゴル国立大学、科学技術大学、農牧業大学、一部の私立大学などの学生たちが参加した(ウヌードゥル新聞2006年09月12日付)。

モンゴルでは、国立、私立あわせて、180以上の大学があって、13万人の学生がいる。2000年から国立大学でも独立採算制が採用され、その経営は学生の授業料から行われるようになった。

その授業料は、30万トグルグから50万トグルグである。公務員の平均給与が10万トグルグの現在では、この額は非常に大きい。学生たちの授業料値上げ反対には理由があるのである。

この授業料値上げの大元の原因は、「経営の民営化」を行って、政府の財政負担を軽減しようという政策にある(注:これはIMFプランによって実施されている)。

このように国際金融機関の政策を実施して、資本主義の悪を受け入れ、かつての伝統である優れた面を放棄することは、モンゴル国民に重い負担を生じさせる。

モンゴル人はこのことを認識しなければならない。

質のいい教育には金がかかるとか、科学技術大学理事会理事長З.エンフボルドを解任して、後任にС.トゥムルオチルを選任することで(ウヌードゥル新聞2006年09月13日付)事態の打開をはかる、というような問題ではないのである。(2006.09.17)

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