アイバンホー・マインズ社への鉱山採掘権付与に法的不備の疑い(2006年05月08日)

2006年春期国家大ホラル(国会)で「鉱山法」改正が審議されている。その間、アイバンホー・マインズ社がこの法律に関わりなく、有利な条件でモンゴルの鉱物資源を採掘するために、「自動継続契約」を結ぼうとして、ベーカー元米国務長官を「使って」、モンゴル政府を「脅迫」させた。ベーカーの行動は米国の意図を露骨に示してあますところがないが、それはさておき、この問題でモンゴル国民の怒りは沸騰し、政府官邸周辺(南側)にあるスフバートル広場で、抗議デモが燃えさかった。

政府はその収拾策として、市民運動家たちを「鉱山法」改正案作成グループに加えた。

こうして、この「鉱山法」改正案作成グループは、市民運動の一つ「急進的革新」(代表С.ガンバータル)を加えて、鉱山採掘権付与に関する調査を行った。

その結果、オユトルゴイ鉱山の採掘権付与に関して法的疑義が生じた。

すなわち、この採掘権は、1997年にВНРミネラル・インターナショナル社に付与されたが、採掘権保持期間が2000年2月17日に修了した。

ところが、同年6月21日に延長された。これは不法であった(注:約4ヶ月間の空白期間があるということ)。

そして、この採掘権が2002年に、アイバンホー・マインズ社に移譲された。

「急進的革新」運動側は、記者会見でそれを明らかにした。さらに、1)オユトルゴイ鉱山の自然環境調査と当時の採掘権付与状況を調査すること、2)政府による直接投資、3)アイバンホー・マインズ社への採掘権移譲に関するコピーの公開などを要求した。

さらに進んで、インドネシア、ミャンマーでのアイバンホー・マインズ社の反国民的行為からみて、当該社のモンゴルからの追放が必要である、と強調した。当然のことながら、モンゴル国民の利益に反する「自動継続契約」の凍結を要求した。

また、この「自動継続契約」に関係した政府高官や政治家の不正行為を徹底的に調査することも要求した。

このグループは今後、「ナリーン・ソハルト」社、「ボロー・ゴールド」社に対する調査も予定している(ウヌードゥル新聞2006年05月09日付)。

この間、グンダライ国民党党首・保健相が、「ボロー・ゴールド」社の政府への献金は賄賂である、と非難したり(ウヌードゥル新聞2006年05月12日付)、オドンチメド社会保障労働相(注:彼は良心的な政治家であるとされている)が、「私の最も心を悩ませている事柄は『物貰い主義』である。政府上層部は外国からの、国民は政府からの援助を願っている。」(ウヌードゥル新聞2006年05月08日付)、と述べたりして、「鉱山法」改正問題は白熱の論議を呼んでいる。

ジャーナリズムも、<エルベグドルジの二つの顔>とヘッドラインを付して、エルベグドルジ民主党党首が「自動継続契約」を三度結んだ「顔」と、現在それに反対している「顔」との矛盾を指摘したりして(ウヌードゥル新聞2006年05月11日付)、モンゴル国民の関心を喚起している。(2006.05.14)

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