市民の意志・共和党がゾリグ暗殺事件に関する要望書を政府に提出する(2005年09月30日)

モンゴルの人々は、1998年10月2日に起きた衝撃的な事件を忘れない。当時の民主同盟連合政権下でインフラ環境相を務めていたС.ゾリグが何者かによって自宅で刺殺された。

С.ゾリグは、周知のように、モンゴル民主化運動の創始者の一人である。

だから、この刺殺事件は、政治的陰謀であるとみられた。だが、この事件は真犯人逮捕(それを教唆した人物たちを含む)に至っていない。

このため、市民の意志・共和党は(注:「市民の意志」という名称は、モンゴルの「イルゲニー・ゾリグ」という。この「ゾリグ」は、「意志」という意味であるが、С.ゾリグを意味の上で重ねていることは言うまでもない。元来、この党は、民主同盟連合政権[1996−2000年]の腐敗を憤った、ゾリグ派によって2000年に設立されたものであった。)、2005年9月30日、ゾリグ暗殺事件に関する三項目の要求を政府当局に提出する。そして、それを支持することを国民に呼びかけ、10月5日までスフバートル広場で署名を集め、10月7日に政府当局に提出する予定である(ウヌードゥル新聞2005年10月01日付)。

この間、ゾリグの妻ボルガン、盟友だったバトウール(現在は民主党所属の国家大ホラル議員)、実行犯としてエンフバトという無頼漢などを拘束して取り調べたことがあった。

また、ジャーナリストのドジョードルジは、『誰がゾリグ゙を殺したか』という本を公刊した(Долголын Дожоодорж, Ардчилсан Хувьсгалын Удирдагчийг Хэн Хθнθθсθн Вэ?, Улаанбаатар, 2000 )。彼は、この本の中で、暗殺教唆者(組織者)として、バトウールとエルベグドルジを名指ししている。

最近では、Р.バターという、ここ15年間政府顧問などを歴任し、ゾリグにも近い人物は、エグ河水力発電所建設問題で、それに利害を持つ政府高官が、この建設を国家安全保障の見地やおそらく環境への配慮から、それを白紙に戻した、ゾリグ・インフラ環境相を排除しようとした、という見解を公表している(ウヌードゥル新聞2005年10月01日付)。

いずれにしろ、その真相は未だ闇の中である。

そして、この10月2日、遙か北方を見上げてい建っているゾリグ像に対し、ゾリグ関係者が花輪を捧げた(ウヌードゥル新聞2005年10月01日付)。

その時にインタビューを受けた、ゾリグの妹С.オヨン(市民の意志・共和党党首、国家大ホラル議員)は、現在の政権与党である、人民革命党と民主党が、この事件の真相を明らかにする熱意に欠けている、と述べている(ウドゥリーン・ソニン新聞2005年10月3日付)。

もっとも、現在のエルベグドルジ「大同盟」政権は、ゾリグ暗殺事件の早期解明を約束する書簡を、国際議員連盟に送付した(ウヌードゥル新聞2005年09月29日付)。これは、捜査用援助金をねらったポーズのようだ。

筆者を含めて多くの人々は、この事件の真相解明を望んでいる。(2005.10.5)

(追補)С.オヨンたち市民の意志・共和党のメンバーは、2005年10月7日、大統領府を訪ね、厚さ約20センチになる署名をエンフバヤルに手渡した。(2005.10.10)

(追々補)国際議員連盟は、10月16日、ゾリグ暗殺事件に関するエルベグドルジ首相による要請を支持する由の書簡を送ってきた(ウヌードゥル新聞2005年10月15日付)。(2005.10.19)

(追々々補)さらに、国際議員同盟は、10月24日、専門捜査官をモンゴルに派遣する由の書簡を、国家大ホラル(国会)に送ってきた。(2005.10.31)

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