モンゴル国内政治、2005年夏休みの課題(2005年06月28日)

モンゴルでは、7月にはいると夏休みになる。この間、多くの人々は(ビジネスマンを除き)地方へ行くか、ゾスラン(モンゴル式別荘)や保養キャンプ地に出かける。学生たちは、アルバイトをしたくてもアルバイト先がなかなか見つからないから、帰省する。

政治家たちも例外ではない。課題は先送りになる。そこで、ウヌードゥル新聞(2005年06月28日付)は、「政治家たちの夏(休み)の課題」という特集記事を掲載している。この「課題(даалгавар)」というのは、元来、大学などが学生に課す「宿題」のようなもので、提出された成果(レポート)は期末試験と並んで成績評価の対象となる。日本にはない制度だろう。つまり、以下のような「課題」が現在の政治家たちに課された宿題であるというわけだ。

その第一は、エンフバヤルの大統領就任に伴う、国家大ホラル(国会)議員第65選挙区補充選挙である。第65選挙区は、ウランバートル市第3、4地区にあって、人民革命党支持者、年配者、有力者が多数居住する選挙区である。今まで人民革命党が議席を確保していた。この選挙区に、民主党のエルベグドルジ首相が立候補を表明した。人民革命党は、М.エンフボルド新党首かС.バヤル書記長を擁立するといわれているが、選挙結果がどうなるか注目される。

第二は、「協議」による「大同盟政府」の将来。第三は、人民革命党会派(62人)の帰趨。

第四は、ウブルハンガイ・アイマグ第24選挙区でのЗ.エンフボルド(民主党)が当選認定された場合の議員会派の変動。これは、現在、当選認定をめぐって裁判で係争中である。そこで、約十人の有権者がウブルハンガイ・アイマグのアルバイヘールから、6月27日、ウランバートルに来て、彼の当選と有権者たちの権利を早く認めるように要求した(ウヌードゥル新聞2005年06月28日付)。これは正当な要求であろう。約一年経過しても議員当選が決まらない、というのは不正常な状態である。もし、З.エンフボルドの当選が認められれば、民主党出身議員が28人から29人になる(人民革命党会派に加入した19人の問題はさておき)。また、エンフボルドは現在、国有財産委員会委員長に就任していて(注:国有財産委員会が国営企業経営者の任免権を持つ)、モンゴルロスツェベトメト社などの国営企業の経営者約40人をばっさりと解雇した。議員当選が決まれば、当該委員会の委員長を退くであろうから、この解雇問題の当否をめぐって紛糾するであろう。

第五は、第一の課題と重複するが、先の第65選挙区当選者が人民革命党、民主党のいずれかになることによって、国内政治が変わってくる(議長、新首相)。

第六は、ウランバートル市長にН.ボロルマーの就任。エルベグドルジが当選した場合の彼の地位の強化、モンゴル銀行総裁の交代。ボロルマーは、2004年の国家大ホラル(国会)議員選挙で人民革命党から立候補し、同じ女性候補のС.オヨン(市民の意志・共和党党首)に敗北し、ウランバートル住民評議会(地方議会)議員になり、議長に就任した。人民革命党では有望な女性政治家であった。彼女が市長に就任すれば、初の女性市長になる。その手腕が注目される。

こうした課題を残しながら、モンゴル人ははつかの間の短い夏を過ごす。

ちなみに、筆者もこの7、8月の行事が、地方調査、一時帰国と続くため、この「モンゴル時評」は8月下旬再開となる。その時点で、上の課題がどう展開しているだろうか。(2005.06.29)


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