
2005年大統領選挙立候補者支持率(2005年05月12日)
2005年5月22日に実施される大統領選挙が間近になっている。大統領の職務は、1990年代末に一部修正された憲法によって、その権限が弱められ、その主要なものは、国家大ホラル(国会)決議に対する拒否権行使、裁判官任命などに限定される。しかもその拒否権ですら、国家大ホラル(国会)議員の4分の3によって不承認となる。従って、モンゴル国大統領は、モンゴル「統合の象徴」(モンゴル憲法)、という地位にある。
だが、この選挙結果が国政与える、すなわちモンゴル国内政治に与える影響は少なくない。なぜなら、今回の大統領選挙立候補者はすべて、国家大ホラル(国会)に議席を持つ政党の党首もしくは前党首だからだ。大統領選挙結果によって、彼らの党内外における影響力が変化する。それが国内政治に跳ね返る。逆に言えば、それだけの意味だともいえる。特に、ウランバートル市民はかなりシニカルにみているようだ。
さて、ウヌードゥル新聞(2005年05月12日付)は、世論調査機関の支持率を掲載した。それによれば、「サンマラル」基金(注:中立を謳っているがどちらかといえば民主党系で、ドイツのコンラド・アデナウアー基金の資金援助がある)は、2004年4月7〜13日の調査で、「もし明日大統領選挙が実施されたら誰に投票しますか」という質問の回答で、エンフバヤル(人民革命党)に55%、エンフサイハン(民主党)に26%、ジャルガルサイハン(共和党)に11%、エルデネバト(祖国党)に2%、無回答6%、となっている。
「プログノズ」センター(注:人民革命党の付属機関。ただし、その調査技術水準と精度は高いといわれる)は、2005年4月27〜5月2日の調査で、「大統領選挙で誰に投票しますか」という質問の回答で、エンフバヤル(人民革命党)に53.1%、エンフサイハン(民主党)に25.9%、ジャルガルサイハン(共和党)に15.9%、エルデネバト(祖国党)に3.7%、無回答3.1%、となっている。
共和党委員会(注:その名が示すとおり米国の資金援助がある)は、2005年4月5〜20日の調査で、「もし明日大統領選挙が実施されたら誰に投票しますか」という質問の回答で、エンフバヤル(人民革命党)に58%、エンフサイハン(民主党)に23%、ジャルガルサイハン(共和党)に7%、エルデネバト(祖国党)に3%、無回答7%、となっている。
この調査は、大統領選挙立候補者が確定した時点のものだった。その後、各候補者が前半は地方へ遊説にいって、最後の週はウランバートル市で選挙運動を行っている。
その結果をふまえ、「サン・マラル」基金は、大統領選挙候補者支持率に関する記者会見を行い、エンフバヤルの支持率が55〜60%、ジャルガルサイハンが20%以上、エルデネバトの支持率が漸次低下している、と発表した。詳細を発表しないのは、その結果が一つの政党に有利に作用しないため、という(ウヌードゥル新聞2005年05月13日付)。
だが、一方、新「アルディン・エルフ」新聞は、独自の世論調査を行ってきた。それによれば、2005年4月25〜30日および、その後2週間しての調査で、、「大統領選挙で誰に投票しますか」という質問の回答で、エンフバヤル(人民革命党)に43.5%から37.1%、エンフサイハン(民主党)に29.6%から31.9%、ジャルガルサイハン(共和党)に9.8%から13.0%、エルデネバト(祖国党)に4.4%から5.4%、となっている(「アルディン・エルフ」新聞2005年05月04日付)。
同新聞は、2005年05月13日時点の調査結果も掲載している。それによれば、エンフバヤル(人民革命党)に36.0%、エンフサイハン(民主党)に29.4%、ジャルガルサイハン(共和党)に18.1%、エルデネバト(祖国党)に6.5%、となっている(「アルディン・エルフ」新聞2005年05月13日付)。
これらの調査からみると、エンフバヤルが勝利することになるが、それが即、当選ということにはならない。得票率が過半数に満たない場合、得票率第1、2位候補者で再選挙となるからである。その場合は、合従連衡が行われるだろうから、形勢が不明となる。
いずれにしろ、新憲法下で第4回目の大統領選挙がこの週末に実施される。(2005.05.17)
