零細・中小企業経営者大会開催(2004年10月26日)

10月26日、零細・中小企業経営者大会が開催された(モンゴル商工会議所、商工業省共催)。参加者は700人以上だった(ウヌードゥル新聞2004年10月27日付、および28日付)。

この大会の趣旨は、「(政府の政策に対する)単なる批判ではなく、政府綱領に盛り込む建設的な意見」(モンゴル商工会議所所長デンベレル)を集約するためであった。だが、それを越えて、ナラントール市場の商人、アルハンガイ・アイマグの牧民、食品・裁縫業経営者などの参加者の行った報告は、モンゴルが直面する現状(=苦境)をあますところなく表現し、訴え、提案する場となったようだ。

その第一は、トゥムルバータル(小経営商人)の報告で、彼によれば、「卸売販売網」が大企業数社の支配下に入ってしまい、その結果、そこから中小企業が閉め出され、失業してしまった、という。

この「卸売販売網」というのは、各アイマグに卸売販売センターを建設し、地域の人々に安価かつ安定的に商品を供給しようという計画で、「地域発展構想」の下で、2001年に政府の政策として正式に承認された。

2002年からは、バヤンホンゴル、ヘンティー、オルホン各アイマグ、2003年からはアルハンガイ、ドルノド、ザブハン、ウムヌゴビ各アイマグで、この計画が推進され、その結果、高品質の小麦粉、米、砂糖など日用品12品目の価格が6%から12%下がった(ウヌードゥル新聞2004年10月11日付)。

国際支援機関(ECのTASIS)もこの計画を支援し、ドルノゴビ、スフバータル、ゴビスンベル各アイマグに、商品供給網が設置され、さらに、このモデルが2004年には、ゴビアルタイ、ホブド、オブス、フブスグル各アイマグにも拡大しされている(ウヌードゥル新聞2004年10月11日付)。

(追補)2004年には、オブス、フブスグル、ゴビアルタイ各アイマグで「卸売販売網」が設立された。オブス・アイマグでは、「トド・モンゴル」ХХКが担当し、現地の5経済単位と共同で、11月27日から活動を開始し、8000万トグルグの食糧、消費物資5品目販売センターを開設した。フブスグル・アイマグでは、「ズーンハラー・トレイド」ХХКが現地の「フブスグル・フン」ХХКと共同する。ゴビアルタイ・アイマグでは、「スピルト・バル・ボラム」ХХКが現地の「トルガ・アルタイ」ХХКと共同して、11月28日より販売センターを開設し、2650万トグルグ、510品目の食糧、消費物資を販売する(ゾーニー・メデー新聞2004年12月03日付)。

しかし、この計画によって、零細・小経営商人たちは、排除され、失業してしまった、と前記の商人は訴えているのである。これは、大方の参加者の共感を呼び、拍手が鳴りやまなかったようだ。

モンゴル経済は、いや発展途上国経済は、こうした零細・中小企業の発展によって成長していく。彼らを押しつぶさないような法的措置を早急に講じるべきである。外資の参入した大企業による地域支配は排除しなければならない。

第二に、ウランバートルで名の知れたナラントール市場の小商人の訴えがある。

彼らの訴えは、これより先、10月14日、就任間もないバトボルド商工業相が、ナラントール市場を視察した際も、聴取されていた。彼らによれば、自分たちの80%以上のものが何らかの病気を持っている、社会保険を導入する必要がある、畜産品原料輸出によって卸売購入価格が高騰している、その禁止措置が必要である、等々であった(ウヌードゥル新聞2004年10月15日付)。

また、ウヌードゥル新聞(2004年10月21日付)は、「汚職と闘おう。小営業商人(ナラントール市場)の大きな苦しみ」という見出しで、彼らの窮状をルポしていた。

名の知れたナラントール市場は、ウランバートル市民に日用品を供給している。そこには、ないものがないといわれる位豊富な商品が、これまたあらゆる種類の小商人によって廉価に販売されている。

だが、許認可に伴う汚職、賃貸料支払いに伴う衝突など、モンゴル小商人の直面する問題が数多く存在する。これを政治がどのように調整し、改善していくかが、モンゴル経済発展のカギとなっている。

この零細・中小企業経営者大会は、そうした意味で重要な意義を持つものとなった。(2004.11.01)

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