2004年度春期国家大ホラル(国会)開会(2004年04月05日)

2004年度春期国家大ホラル(国会)が、2004年04月05日、開会した。この国会は、今年6月27日に総選挙が行われるため、人民革命党エンフバヤル政権にとって、最後の国会となる。それは、ビャンバドルジ副議長にとっても同様である(トゥムルオチル議長は病気検査のため日本滞在中で欠席)。この二人は、バガバンディ大統領と共に、国会冒頭演説を行った。なお、野党議員四人は、冒頭演説を拒否され、抗議のため、退席した

(注:国家大ホラル(国会)法では、政党会派は8人以上と規定されているため、野党は政党会派と認められていない。1992年議会と1996年議会には、8人以下の政党会派も冒頭演説が認められていた。例えば、1992年には、民主党・民族民主党・統一党連合議員が4人だったにも関わらず、冒頭演説を行った。1996年には、伝統統一党議員が1人だったが、これも冒頭演説を行った。ただ、このことをもって、2000年議会が独裁的である、ということにはならない。というのは、以前が法律・法令無視であったのであり、モンゴルが次第に法治国家としての形態を整えてきた、と見るべきである。だが、この4年間は与党が究極の絶対多数を占めていて(72議席:4議席)、勢力バランスがいびつであったことは事実である。これは、前「民主同盟連合政権」の腐敗、失政の結果であったけれども。)

さて、この議会は、ビャンバドルジ副議長、バガバンディ大統領、エンフバヤル首相の順に冒頭演説が行われた。バガバンディ大統領は任期をあと1年(注:2005年に大統領選挙が行われるが、憲法で3選禁止と規定しているため彼は立候補できない)を余しているので、秋期国家大ホラル(国会)、春期国家大ホラル(国会)と、2回は冒頭演説を行うだろうが、後の二人は、これが最後となるだろう。

だからと言うわけではないだろうが、ビャンバドルジ副議長、エンフバヤル首相の二人の演説内容は、かなり自画自賛気味である(その演説内容は、ゾーニー・メデー新聞[2004年04月06日付]が全文を掲載し、ウヌードゥル新聞[2004年04月06日付]が要約で掲載している)。

ビャンバドルジ副議長演説の特徴は、国家大ホラル(国会)の活動報告の意味合いが強く、また、1)社会の安定化、2)規律の確保、3)議会と国民の声との結びつき強化、などを強調していることである。しかし、1)では、現在、凶悪犯罪、汚職、といった資本主義下での第三世界の特徴が、モンゴルにも持ち込まれているし、2)では、グンダライ議員の議会規律無視の、国会内プラカード掲示行為を規制できなかった。だから、丸ごと肯定するわけにはいかないだろう。

エンフバヤル首相演説では、1)給与・年金を二倍化、2)最低賃金を3.3倍に、3)経済成長率を5.5%に、4)国家予算からの資本投下を2.6倍に、5)外資による直接投資が3.7倍に、それぞれ増加したことを強調し、民主主義、市場経済、社会混乱からの脱却、貧困緩和の基礎の形成などに成功した、としている。

エンフバヤル政権は、これまで、かなり成果をあげてきたことは否定できない。だが、憲法遵守の姿勢を強めている、バガバンディ大統領の冒頭演説が述べるとおり、「成し遂げるべき仕事は成し遂げた仕事よりも極めて多く」、「貧困緩和へのより一層の努力」が必要で、「給料・年金の増額は物価上昇により不十分になっている」し、「汚職との闘いを強化する」必要がある(ゾーニー・メデー新聞[2004年04月06日付)。

このことは、冒頭演説を拒否された、市民の意志・共和党党首オヨンが、記者会見でその演説予定原稿を発表したが、その中で、国民の40%が貧困ないし極貧状態にあり、給料・年金増額は物価上昇のため十分ではなくなっているし、企業の負担が19.6%(1999年)から29.9%(2003年)に増加した、と述べていることとも符丁が一致する(ウランバートルポスト新聞電子版2004年04月08日付)。

なぜこうなるか、と言えば、エンフバヤル政権もまた、IMF路線の規範を脱することができないからにほかならない。モンゴルがIMF路線を拒否し、真の「独立」が達成しないかぎり、第三世界が歩んできた道を、みずからたどる危険性が極めて高い。(2004.04.10)

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