
続々・2004年国家大ホラル(国会)選挙に向けての政争(2003年12月19日)
野党各党は、2004年度国家大ホラル(国会)議員選挙に向けて、今のところ、「同盟」どころか、各党内が分裂気味である。
例えば、民主党は、同党国民評議会が流会になり、エンフサイハンが予定していた立候補者割当比率(「51:25」)承認が得られず、その腹いせなのかどうか、エンフサイハンの責任を追及し始めた一部国民評議会委員を解任して、党から追放し、同時に、流会の責任を、Д.ガンスフ書記長に帰し、彼を更迭して、側近のШ.トゥブデンドルジ元国防相を任命することを検討している(ウヌードゥル新聞2003年12月17日付)。
また、市民の意志・共和党と民主新社会党の統一に関して、С.オトゴンバヤル、ダリ.スフバータルは、民主新社会党と統一した場合、その報償として、1億トグルグを受け取ることになっていたらしい(ウヌードゥル新聞2003年12月15日付)。
この「対岸の火事」をよそに、与党人民革命党は、12月15日、同党指導評議会小委員会を開催し、社会主義インター正式会員になったことの「意義」を強調し(エンフバヤルによれば彼の社会民主主義路線が世界で認知されたということになる)、選挙準備を行うことを決定した。前に書いたことだが、水面下では様々な試みがなされているのだが、表面上は、「横綱相撲」である。
これに対し、野党は例によって、誤報で(モンゴル人はこれを「センサーツ」と呼んでいる)側面攻撃を試みている。
ウドゥリーン・ソニン新聞は、Ш.サナーという偽名(「新しい意見」という意)で、「人民革命党小委員会は(もっとも民主主義的ではない)北朝鮮労働党を思い起こさせた」、という見出しの記事を掲載している。
それによれば、小委員会の委員たちが何の意見も出さないのは、思想・信条の自由を認めた憲法に違反している。θ.エンフトゥブシン書記が、「エンフバヤルが(党)指導者とはおこがましい。集団指導とか党内民主主義などあるわけがない」、と発言し、争論になった。また、ある委員が、「С.バヤル(現駐ロシア大使)が党首になればこういうことにはならない」、とも言った。党長老がこれらの発言を注意し、選挙前であるから争っている時期ではない、とたしなめた(ウドゥリーン・ソニン新聞2003年12月17日付)、という。
これに対し、人民革命党報道局が声明を出し、人民革命党は党内にそのような不和はない、と述べた。また、θ.エンフトゥブシン当人は、「大会前に事前に党員が議論して、党大会で決定する。反対意見を持つものも決定を尊重し従う。野党はこれを党内民主義がないと非難する。選挙が近くなり、争論する時期ではなく、具体的な仕事をする時期である。政府行動指針を実行する。これ(注:上の記事)は、私(注:エンフトゥブシン)の名誉を傷つける以上に、党指導部たちを反目させようという意図がある。さらには、人民革命党が分裂しているという印象を与えようとする意図がある」、と述べ、党指導部との不和をあっさり否定している(ウネン新聞2003年12月19付)。
野党は、上のような意図的な「誤報」や、小手先の「同盟」戦術などよりも、IMF路線の危険性などについて、モンゴル国民と共に広く議論するべきなのである。
例えば、「世紀の道」(「ミャンガニ・ザム」=「千年道路」)をとってみても、これが完成すれば、ヨーロッパとアジアを結ぶ回廊の一つとなって、物流が円滑になり、モンゴル人の移動がより自由になる。しかし、これは諸刃の刃であり、国内産業が発達し、周辺諸国の経済環境が整備され、米国や日本の経済侵略が防止されている場合に限って、モンゴル国民の生活向上に役立つだろう。だが、その条件が確立しないまま(現状がそうである)、負債だけが累積していけば、国家破産になる。
国家大ホラル(国会)議員選挙はそのまたとない機会なのである。(2003.12.22)
