
ホルショー(協同組合)設立のための9ヶ条(2003年10月29日)
筆者は、「モンゴル時評」(「ホルショー(協同組合)は貧困緩和に寄与するか(2003年05月07日)」)で、ホルショー(協同組合)設立の問題点をいくつか指摘した。要するに、国際機関および政府の関与の下でのホルショー(協同組合)設立は、問題が多いが、その発展にはモンゴル国民の将来がかかっている、といってよい。
それはさておき、ゾーニー・メデー新聞(2003年10月29日付)は、「ホルショー(協同組合)設立のための9ヶ条」を特集し、掲載している。参考のため、簡単に紹介しよう(各項目がもう少し詳しく書かれているのだが、省略した)。
第一、興味や関心のある人々を募る。第二、ホルショー(協同組合)事業内容を構想し、市場、技術、利益、法制を調査研究する。第三、設立大会を開催する。第四、事業計画を作成する。第五、各経営活動の準備を行う。第六、設立大会での決議事項。第七、ホルショー(協同組合)の登録。第八、営業活動の開始。第九、ホルショー(協同組合)連合に参加する。
つまり、ホルショー(協同組合)設立にとって肝心なのは、「興味や関心のある人々」が自主的に集まって、事前調査を充分に行い、経営技術を高め、地域と連携することである、というわけだ。
これだけでは、いくらモンゴルの歴史に合致しているといっても、これは、絵に描いた餅であり、単なる作文にすぎない、ともいえる。より具体的な活動例がほしい。
それは、2003年01月20日に、ボヤント・ボラクで開催され、決議された「規約」である。
その「前文」で、政府が2003年を「ホルショー(協同組合)発展支援の年」としたのを受け、さらには、「ホルショー(協同組合)連合」第4回大会決定を基にして、以下の規約を作成した、と述べ、四ヶ条に亘る規約(改正)を策定している。
1、理事会、経営方法改正、では、1.1、目標:節約し、収益をあげ、会計を確立し、各営業活動を改善する。1.2、欠点を隠さない。1.3、各自が責任を持つ。1.4、営業所責任者の責任。1.5、勤労者の責任。1.6、成果をあげる。1.7、意欲的に働く。1.8、各営業所はこの規約を理解する。
2、活動内容、では、1、コンピュータ研修、学校との連携。2、政府支援の「卸売ネットワーク」との連携(ドルノド・アイマグ、スフバータル・アイマグとの連携)。3、パン製造業の拡大。4、ガソリン・スタンド営業の改善。5、倉庫業の改善。6、寺廟改修への参加。7、ジャガイモ、野菜栽培。8、フェルト製造。9、広報活動の強化。10、店舗、バーの改修。11、ウランバートル市、ウンドゥルハーン市(アイマグ中心地)に支店を置く。
3、農牧業生産、では、1、ホルショー(協同組合)所有家畜を2003年に一万頭にする。2、家畜種改良。3、酪農工場をソム中心地(ガルシャル)につくる。4、乳製品の生産委託。5、ホルショー(協同組合)所有家畜への烙印の実施。6、家畜小屋建設のための資材の準備。7、家畜小屋のための資材の製造。8、飼料草300〜500トンの準備。
4、その他、では、1、ヘンティー・アイマグ、スフバータル・アイマグ、ドルノド・アイマグ、トゥブ・アイマグが参加する「ホルショー(協同組合)東部地区連合」に参加する。2、組合員の借入金を60%下げる。3、研修を年4回行う。4、総会を2003年3月初めに開催する。5、6、省略。
組合理事長Н.デリーラー(署名)
当該ホルショー(協同組合)は着実に発展している。指導者の資質を含めて(注:上記、組合理事長Н.デリーラー氏は大変意欲的な人物で、指導力がある。同氏の娘さんも、ウランバートルの「財政経済大学」で経営学を学び、Uターンして、ガルシャル・ソム唯一の銀行である農牧業銀行支店長として、ソム住民のための銀行業務をこなしている)、こうした活動が地方に根を張れば、モンゴルの将来は明るい。(2003.11.04)
