
アノド銀行・TBDアンドード・ショッピングセンター支店襲撃事件(2003年10月11日)
2003年10月11日23時頃、ウランバートル市バヤンゴル区にある、アノド銀行・TBDアンドード・ショッピングセンター支店(24時間営業)を、二人組が銃を持って襲撃した。その際、警備を担当していた「チョノ」警備保障会社のガードマンが胸部と頭部を銃撃され、大けがをした。この二人組は、現金1億トグルグ(UBポスト電子版2003年10月14日付では現金9万ドル以上および7万トグルグ、さらに、ゾーニー・メデー新聞2003年10月22日付では約2億トグルグ)を強奪し逃走した(ウヌードゥル新聞2003年10月13日付)。
この二人組の行方は現在捜査中である。
なお、アノド銀行は、1999年に設立され、現在、ウランバートル市および地方に13支店を持っている(UBポスト電子版2003年10月14日付)。なお、私事で恐縮だが、筆者もよくこの銀行のアルド・キネマ近くの支店をよく利用する。サービスも、まあ悪くない。
モンゴルでは治安が悪化しているといわれるが、この種の事件は今まで一度もなかった。そのため、銀行側はもちろん市民たちは衝撃を受けている。
この事件が起こった背景には、拝金主義、貧富の差の拡大、貧困層の増加、国際機関や外国政府による「援助」金の市中銀行への流入、青年層の就業の困難性など、市場経済の進行があることは自明である。
青年たちによるこうした凶悪事件は、米国などでは頻発しているが、市場経済に移行していると言われる国々へもそれが波及するのだろうか。
筆者も日々青年たちを見ているが、彼らは身体の不自由な学生に対し講義の終わりに進んで介護する。バスのなかでは当然のようにお年寄りに席を譲る。さもなければ、大人が譲らない若者を叱る。若者たちの部屋は整理整頓されているのが常だ。
また一方で、子供は社会的財産、という観念は、まだ根強く残っている。子供のための催しはたびたび開催される。
歴史は時には「偶然」があるが、長期的に見れば、その諸条件が正しく継承されているのがわかる。モンゴルが「発展」できるのはその場合のみである。(2003.10.21)(10.23改筆)
