
「知的所有権」に関するセミナーが政府官邸で開かれた(2002年12月03日)
ウランバートル市チンゲルタイ区住民代表評議会(地方議会)と国家大ホラル(国家)法務委員会共催による、「知的所有権」に関するセミナーが、2002年12月03日、政府官邸で開かれた。そのテーマは、モンゴルにおける知的所有権の考え方、所有権の伝統、改革、保護、などであった。このセミナーで、国家大ホラル(国会)法務委員会委員長Д.ソガル、行政委員会委員長Т.オチルフー、チンゲルタイ区住民評議会(地方議会)議長Ц.トンガラグ、最高裁判事Н.ドルジゴトブ、Н.ルンデンドルジ博士などが報告した。
このセミナーでは、АПУ(酒飲料醸造販売会社)、ボサ貿易センター、モンドナルドによる登録商標違反が指摘された。すなわち、АПУ(酒飲料醸造販売会社)はコカ・コーラの、ボサ貿易センターはマールボローの、モンドナルドはマクドナルドのそれぞれ商標に擬似的であった。
この知的所有権をめぐっては、多くの人々が論議してきた。その共通理解は、知的所有権は保護されるべきであり、その違反は処罰されるべきである、ということであろう。
こうした知的生産に対して、人類がその独自性に敬意を払うべきであることは自明である。
だが、これは「共通の土壌」でのことであって、「発展に格差」がある場所では、登録商標所有者による、当該地域への侵略の武器となる。特に、その生産物が当該地域で、同等かもしくはそれ以上の品質をもっていたり、その地域独特のものである場合、たいていは、強者(この場合は登録商標所有者)の弱者(この場合現地中小生産者)駆逐のための、法的「保護」措置にすぎなくなる。
この生産物が、米であったり、カシミアであったりする。
その生産物が人類の福祉の向上に寄与するものでなければ、さらに問題が深刻である。酒、たばこ、画一的ハンバーガーなどは、人類にとって必要不可欠なものではなかろう。むしろ健康に害があるものである。こうした生産物が当該地域を席巻し、その地域の伝統的味覚を奪い、さらに、健康を損なわせる。
こうした有益、無益を含めて、知的所有権で「保護」され、当該地域の人々の伝統と健康を破壊する。
ということは、WTO(世界貿易機関)による、第三世界への貿易障壁撤廃要求と、同質の性格を持っている、ということになる。さらに論を進めれば、グローバリズムによる当該地域の世界包摂過程の一コマということでもある。もちろん、その中心的役割を果たしているのはアメリカである。
モンゴルは、知的所有権保護条約に1996年に加盟した。グローバリズムへのモンゴルの包摂の一つの象徴である。どこかでそれにストップをかけるべきである。(2002.12.07)
