
モンゴル外資企業フォーラムが開催された(2002年09月17〜19日)
アジア大陸の東側の小列島で、日本商社によるモンゴル政府高官への贈賄事件が問題になっている最中に、モンゴルでは、2002年を「外資企業を支持する年」と定め、2002年9月17日から19日にかけて、政府官邸大会議場において、「第三回モンゴル外資企業フォーラム」(モンゴル政府、世界銀行共催)が開催された(第一回目は1997年に開催.。これはモンゴルのWTO[世界貿易機関]加盟と連動している)。
これについての厖大な文書はすべて、webサイトで見ることができる(http://www.investmongolia.com)。
このフォーラムの目的は、政府発表によると、@モンゴルで推し進められている「改革」、モンゴル経済現況、主要五部門(鉱業、農牧業、観光業、通信、インフラ)での外資企業の状況と将来などを、世界に向けて広告し、Aモンゴル企業と外国企業との商談を成立させ、Bあわせて展示会を催し、結果として、Cモンゴルへの外資企業の参入を促進することにある、という(総括責任者ガンゾリグ商工相)
参加者は44ヶ国530企業(その3分の一は中国企業)、国内企業441企業であるという(ウドリーン・ソニン新聞2002年09月17日付、ウヌードゥル新聞2002年09月18日付)
そこでの基本認識は、モンゴルの豊富な資源と安価な労働力を、先進技術と結びつけることによって、モンゴルの発展が可能になる、というものである。
エンフバヤル首相も基調演説を行った。その報告によれば、現政権は、財政赤字減少、インフレ率1ケタ台維持、GDP12%増加(前年比、以下同じ)、失業率50%低下、通貨準備高増加、銀行および金融部門の改革の進行、商業銀行の発展、エネルギー・通信部門などインフラ分野での自由化、土地私有法の成立、基幹国有企業の民営化の進行、などを成功裡に遂行している、という。
それを受け、ガンゾリグ商工大臣も、「外資企業がモンゴルに投資する機運が生まれている」、と誇らしく宣言した。
ただ、外国企業にとっては、モンゴルでの投資環境には不満なようである。そこで、@税負担のさらなる軽減(現在は10年間免税、さらに5年間は50%の減税されている)、A規制緩和、B労働者保護義務の撤回などを要求している(ウヌードゥル新聞2002年09月19日付)。
さて、このフォーラムはモンゴルをどこに導くのか。モンゴル国民にとって吉か凶か。
モンゴル指導層は、その基本政策がIMFの「改革」プランと一致するのは公理である。国営企業民営化、銀行の構造改革、政府歳出削減、土地の私有化、などがこの10年間で推し進められてきた。上述のように、エンフバヤル政権は、具体例を挙げて、これを「成功裡に推進」している、と主張する。
そして、そのための資金を外資企業に依拠しようというのである。
モンゴルが経済的独立や政治的自立を危うくした結果、1990年代の経済混乱を招いた、ということが忘れ去られようとしている。同じことを繰り返し、その被害が一般のモンゴル国民に及ぶ。こうした歴史の繰り返しを許してはならない。(2002.09.27)
