
政府首脳らの外国訪問と援助(2002年4月22日)
エンフバヤル首相は4月21日から26日にドイツを公式訪問した。ゴンガードルジ元首相・国会議員(地方開発・環境常任委員会委員長)は中国訪問中である。また、4月22日、日本からは海部・羽田元首相ら8人の国会議員がモンゴルを訪問した。
この公式訪問というのは単なる外交儀礼である、という見方も成り立つが、それは先進国などのことである。特に日本の議員たち(地方も含めて)は公式訪問の名の観光旅行の時もあるだろう。
小国はそうもいかない。特にモンゴルは春期国会が開会中である。この時期に行政府の首脳の一人である首相(憲法では大統領とその権限を共有する)が外国訪問をする、というのは、訪問の目標が明確でなければならないことを意味する。
エンフバヤル首相の場合も例外ではない。それが随員(実業界も含めて)60人余という数の多さからも首肯できる。エンフバヤルは、観光・ホテル分野へのドイツ側の資本投下を取り付け、さらに観光、食品、銀行、保険分野への援助を要請した。
ゴンガードルジの方は、モンゴル南東部のスフバートル・アイマグに存在するトゥムルト鉱山開発に関する技術・資金援助につて協議した。
日本人の訪問は日本・モンゴル国交樹立(1972年)30周年記念行事のためだが、当然、この国会議員たちは、さらなるモンゴル「援助」を約束している(その権限の有無はさておき)。
政権を担当している人民革命党は、2000-2004年政府行動指針で、マクロ経済安定、国内産業育成などを、主要な政権運営目標としている。
前政権の腐敗・失政を是正する、という点では、この「指針」は肯定すべき点も多い。問題は、その具体策である。特に、国内産業育成は、牧畜を基礎とする国内発展の鍵の一つである。
もう一つの鍵は、当然のことながら、資金である。モンゴル人自身の生産行動の高まりによって、資金が蓄積し、その資金によって国内産業を発展させるのが正攻法であろう。
しかし、国内指導部はそのように考えていない。諸外国・国際援助機関も、それは無理である、という勝手な判断に傾いているのだろう。日本は相手国の「自立更正」を要求しているが、それなら干渉しない方がいい。
エンフバヤルは、ことあるごとに、外国投資を呼びかけ、民営化への外国企業の参加を要請している。これは、外国に依存する、ということだ。
外国に依存した政治経済発展に反対したのが民主化運動であったはずである。モンゴル人が「民主化」の精神を継承したいのであれば、そのことに早く気づいて、それをめざす行動をすべきである。(2002.05.02)
