「んんっ!・・・ぁ、阿散井っ!・・・そ、こは、ダメ、だって・・・」

 一度も引き抜くことなく、常に己の熱い塊を捻じ込みながら、無毛の股間に可

愛らしく存在する陰核から指を外そうとしない恋次に、日番谷が切なく訴える。

「だってあんた、ここを擦るとスゲェ締め付けるんですよ。感じるんでしょ?気

持ちイイんでしょ?」

「・・・・・ん、あ、もう、頼むから、一度休ませてくれ」

「休憩したら、又、シテもいいんですね?」

「あぁ」

 恋次の絶倫ぶりに、根を上げた日番谷が応えれば、汗を滴らせた野趣溢れる美

丈夫がにやりと笑う。

「判りました。じゃああと二回イッたら、一度抜いてあげますよ」

「・・・何で今すぐじゃなく、二回なんだ?」

「俺、一度、『ヌカロク』ってのをあんたとヤッてみたかったんです」

「・・・ぬかろく? なんだそれは?」

「あ、知りませんか?『抜かずに六発』ってイミです」

「・・・・・そんなものに拘るな!いい加減にその凶暴なモノを一度収めてくれ

!」

 脱力しながらも怒鳴る日番谷に、「凶暴ですかぁ?」と、恋次は嬉しそうに瞳

を輝かせた。

 

 

 

「・・・はぁん・・・・・っ」

 ずるり・・・と大量の温かな陰液を纏わり付かせながら、巨大なモノが身の内

から抜け出ていく感触に、日番谷は白い身体を振るわせた。

 漸く人心地ついたらしい恋次は、名残惜しげではあるものの、一度日番谷の身

を解放し、満足気な溜息を付いた。

「ふぅ。・・・あ―――気持ちイイっ!」

「・・・・・絶倫め」

「何か云いましたか?」

「何もねぇ。・・・って、尻を撫でるな!休憩だって云っただろうが」

 ベッドに腰を降ろした姿勢で、すぐ近くにうつ伏せに寝転んでいる自分の尻を

撫でてくる恋次に、日番谷が抗議すれば、悪びれの無い声が返ってくる。

「だったあんたのケツ、凄く可愛いんですよ。自分じゃ判らないだろうけど」

「・・・ふん」

 尻を撫でるといっても、恋次の手からは厭らしい淫欲は感じず、本当に愛しい

者を可愛がろうとする慈しみがあり、日番谷もそれ以上は云わず、恋次の好きに

させた。

 それで図に乗った訳ではあるまいが、日番谷の尻を撫で擦っていた恋次の手が

双丘を掻き分けて慎ましく閉じている蕾を露にしに、その場所に熱い視線を送っ

てくる。

「ねぇ、冬。俺、今度はこっちに挿れてみたいんスけど、ダメですか?」

 ややあってからの恋次の問い掛けに、日番谷は素っ気無い程淡々と応えた。

「・・・別に構わない。いつもは尻を使ってるんだしな」

「やった!本当ですね!実は俺、あんたの大好物を持ってきたんですよ!」

「―――大好物?」

 喜色満面な恋次に、流石に警戒心の沸いた日番谷が身を起こせば、恋次はベッ

ドの下に放り出したままだった自分の手荷物のバックの中から、ビニールに包ま

れた物を取り出して見せた。

「あ、阿散井、これは・・・」

 ビニールを取り去られたモノを見た日番谷の頬がみるみる赤く染まるのを、恋

次はしてやったりと眺めた。

 恋次がバックから取り出したのは、いわゆる『大人の玩具』、それもアナル専

用の、丸い玉が幾つも連結して棒状になっているという代物だった。

「ね、コレ、好きでしょう?」

「・・・うぅ」

 恋次だけでなく、修兵や乱菊も好んで日番谷に道具を使いたがるが、その中で

も恋次が手にしているブツは確かに日番谷の『お気に入り』だった。

「ねぇ、コレを使ってもいいですよね?」

 駄目押しのように恋次が応えを要求すると、ソレを使った時の快感が蘇りでも

したのか、更に頬の赤みが増した日番谷は、視線を横にずらしながらも、白銀の

頭をコクリと縦に振って見せたのだった。

 

 

 

「ああっ!阿散井っ!・・・イ・・・・・ク・・・」

「俺も! 俺も凄くイイです!・・・あぁ、冬!」

 お気に入りの道具でアナルを攻め。その快楽に喘ぐ日番谷の媚態を充分に鑑賞

させてもらった後に、自身も後孔に挿入した恋次はあまりの快感に我を忘れかけ

る程だった。

 狭い直腸は、塗れそぼる女陰とはまた別の趣があり、恋次を夢中にさせた。

 試しにと、道具で後を攻めたまま、前に挿れてみれば、その締め付けにも感嘆

させらせた。

 互いに何度も果て、汗まみれになりながら愛しあった。

「・・・冬」

「ん!」

 繋がったまま深く口付け合えば、互いの身体が一つに解け合ったかのように思

える。最高の瞬間だった。

 

 

 

「・・・ん。お前、まだヤルのか?」

 二度目の休息とばかりに身体を離した恋次に、額の髪を掻き揚げながら日番谷

が気だるげに問う。

「正直に云えばヤリたいですね」

「・・・どうしてそんなに絶倫なんだ。俺はもう眠いぞ」

「あぁ。お子様はもう眠い時間ですからね」

「てめぇ殴るぞ!・・・本当にまだヤんのか?」

「え・・・っと、実は冬に試して欲しいモノをまだ持って来てるんスけど・・・」

 上目使いに覗うような恋次の視線に、嫌〜〜〜な予感を感じ、日番谷が尻で後

ずさる。

「この旅行に合わせて現世の店から仕入れた新作なんですよ」

 その言葉と共に、又もやバックから取り出された品々を見た日番谷は絶句した。

 ベッドの上に処狭しと並べられたのは、キュウリやナスやトウモロコシ、アス

パラや人参、サツマイモ、バナナやキュウイといった野菜や果物、の、精巧なレ

プリカだった。

「あ、ば、ら、い〜〜〜!」

 過去の事例から、直ぐに使用目的を推察して、ふるふると震えている日番谷に

対して、恋次は瞳を輝かせて云った。

「本物そっくりで、よく出来てるでしょう?因みに『下のお口から食べましょう

お野菜シリーズ』って云うらしいですよ」

 そんな明るい恋次とは対称に、暗雲が日番谷の頭上を覆う。

「シリーズの名称なんぞどうでもイイ!―――俺は絶対に嫌だからな!」

「え〜〜〜!どうしてですか、せっかくあんたに喜んでもらおうと思ったのに」

「嫌だ!」

「喰わず嫌いはダメですよ。別に『女の子』の方に挿れてくれなんて云いません

から、あんたの可愛い尻に是非コレを試してみて下さいよ!」

「・・・お前、さっき、俺の嫌がることはしないって云ったな。あれは嘘か?」

「嘘なんかじゃありませんよ」

「だったら・・・」

「だってあんた、本気で嫌がってないじゃないですか」

「あのなぁ!」

 眉間に皺を寄せた日番谷が凄めば、恋次も負けずと食い下がる。

「第一ズルイですよ!」

「・・・ズルイ?・・・何がだ?」

「檜佐木先輩には、あんなことやこんなことも、一杯許したくせに、俺はダメな

んスかぁ?」

「―――!そ、それは・・・」

 珍しく動揺を露にした日番谷が焦るのを見て、恋次が口を尖らせる。

「檜佐木さんとはイケナイ遊びを沢山したくせに、俺とは嫌なんですね?」

「・・・うっ!」

 大きな犬がイジけたように、背中を向ける恋次に、日番谷は大きな溜息を付き

ながら思い出していた。そういえば、一旦、身体を繋いだ後、一番、我が侭にな

るのはこの男だということを・・・。

 と、同時に、二週間前、乱菊に云われた言葉が脳裏に蘇る。

『愛人は平等に可愛がらなきゃダメですよ。隊長』

「・・・・・判った。判ったから、デカイ図体で、いじけるのは止めろ」

「えっ!マジですか?やった〜〜〜!」

 お前、今のは演技だったのかと日番谷がつっこみたくなるほど、恋次の変わり

身は早かった。

「じゃ、早速!どれからいきますか?」

 ウキウキルンルンと、鼻歌まで歌いそうに浮かれている相手に、流石に日番谷

が待ったを掛ける。

「いっとくが限定で、三個までだからな!」

「え〜〜〜っ!こんなにいろいろ持ってきたのに、三個だけなんて酷ですよ!せ

めて五個にして下さいよ!」

「やかましい!俺はこれでも徐歩してやっているんだ、この変態!」

「へ、変態って、酷いっ!」

「うるさい!変態呼ばわりされたくなきゃ、俺のケツに妙なモノを挿れたがるそ

の性癖を改めろ。・・・ったく、俺の気が変わらねぇうちにさっさとしろ!」

「・・・はい。えっとじゃあ俺の一押しから・・・」

 そう云って、大きなゴーヤのレプリカを手に取った恋次に、日番谷がこれ以上

ないほどに眉間を寄せる。

「ちょっと待て、なんだそのバケモノみたいなキュウリは!」

「あ、知りませんか?今、現世でブームになってるゴーヤっていう食い物です。

凄く栄養があるらしいスよ」

「栄養なんてどうでも良い!―――お前、そんなぶっとくて、おまけにイボイボ

が沢山付いてるモノを俺のケツに挿れる気か!」

「きっとスゴク気持ちがイイですよ」

 瞳をキラキラと輝かせてにじり寄ってくる相手に対し、蛇に睨まれた蛙状態に

なりながらも、日番谷は情けない声で懇願した。

「・・・・・頼むから、そっちの普通のキュウリにしてくれ・・・」

 

 

 

 

 

 恋次の翌朝の目覚めは最高だった。

「・・・冬?」

 だが、恋しい相手の身体は自分の横には無く、空しく腕が最高級のシーツの上

を滑った。

「冬?」

 はっとして起き上がった恋次の耳に小さな水音が聞こえた。

 どうやら日番谷が湯を使っているらしいと察した恋次は、自分も身を清めよう

とベッドから起きやがったのだった。

 

 

 

「おはようございます」

「ん。起きたのか」

 まだ朝の早い時間らしく、僅かに朝もやが煙っている最上階の展望風呂で、日

番谷は一人湯の中で仰向けに浮いていた。

 余す所なく目に晒されているその白い身体には、昨夜自分が思いの限り付けて

しまった情交の跡がぴんくの花弁となって残っている。

恋次の喉がゴクリとなった。と、同時に前のモノも兆してくる。

 何も纏っていない恋次の身体の反応は、日番谷にも丸判りだったが、あえて揶

揄することはなかった。

「お前も浸かるか?」

「ええ」

「少し待て」

 そう云う日番谷は身を起こすと、掌を湯の上に翳した。

 不思議に思った恋次が湯の中に足を入れると、かなり湯の温度が低い。だが、

それはあっと云う間に暖められ、人肌よりも少し温かい程度の適温の湯となった

大気中の全ての水を操ることが出来る日番谷にとって、湯の温度を自在に変える

事くらいは朝飯前だ。

「随分ぬるめの湯に浸かってたんスね。夏とはいえ風邪引いたらどうすんです」

 小さな身体を抱き寄せながら、恋次は少し心配そうに眉を顰めると、大人しく

恋次に身を預けながら、日番谷がボソリと呟いた。

「・・・ヒリヒリする」

「はぁ?」

「ヒリヒリするんだ。昨日お前が擦り過ぎたからだぞ」

 軽く頬を膨らませた日番谷が自分の局部を見下ろせば、慌てて恋次もそれに習

う。

「えっ!痛むんスか?」

「痛くはない。でも、ヒリヒリするんだ。・・・俺がもうダメだって云うのに、

お前が指で俺のアソコを擦るのを止めなかったせいだぞ」

「す、すいません。あんたがあんまり感じてくれるもんで、つい嬉しくなって。

ちょっと見せて下さい」

 心配の余り顔色を変えた恋次は日番谷の太ももを持ち上げて、大きく左右に開

く。

 日番谷の秘所は恋次の視線に反応した様に可愛らしく花の色に染まっており、

確かに昨日恋次の指がこれでもかと愛撫した場所に至っては、その色を強めてい

た。

「うわぁ・・・少し腫れてますか?やっぱりイタいんじゃないスか?」

「大丈夫だ。水で冷やしたからすぐに直る」

「すみません!」

「別に構わない。次から気を付けてさえくれればそれで良い」

 何でも無いことのように云われ、恋次の瞳に光が差す。

「・・・次って・・・・・もし、あんたが男の身体に戻れなかったら、又、女の

子の身体で抱かせてくれるって事ですか?」

「あぁ。そうだな。お前は男の俺と女の俺じゃ、どっちが良かったんだ?」

「そ、そんなの比べられないっスよ。・・・でも、今更なんですが、俺、避妊し

なくて良かったんですか?」

「避妊?・・・あぁ。良いんじゃないか?出来たら出来たで」

「えええ〜〜〜っ!あ、あんた、俺の子、産んでくれるんですか!」

「なんでそんなに驚くんだ?別に堕胎しなきゃならない理由はないぞ」

 さも当たり前の様に云われて、恋次は開いた口が塞がらない。

「い、いや、だって、市丸隊長が許してくれないかも・・・でしょう?」

「―――? 俺がお前の子を産むのに何で市丸の許可がいるんだ?」

「いや、いや、だって・・・!」

 『俺がお前の子を産む』と云う言葉に舞い上がりながらも、流石にそれはマズ

イだろうと恋次は首を振る。

 いかに市丸が自分を可愛がってくれているからといって、日番谷に対する執着

を考慮すれば自ずと対処は目に見える。

 もしかしなくとも、自分はとんでもないことをしてしまったかしれないと青ざ

める恋次に、日番谷がきっぱりと云った。

「阿散井、俺は確かにこの世の誰よりも市丸を愛しているが、だからといって一

生、市丸の顔色を覗って生きていくつもりは毛頭ないぞ。あいつも俺も一個の人

である以上、好みも違えば物の考え方だって違って当たり前だ。何があいつの怒

気に触るかなんて一々気にしていられるか」

「じ、じゃあ、冬はもし俺の子を妊娠してたら、市丸隊長が反対しても産んでく

れるんですか?」

「あぁ。授かり物だからな」

「――――っ!そんなことをして市丸隊長に嫌われたらどうすんですか?」

「仕方が無いだろうな」

「し、仕方が無いって、あんた」

「仕方が無いものは仕方が無い。・・・でも、例え、市丸が俺のことを嫌いにな

っても、俺は、市丸のことが好きだ。多分・・・」

 そう云ってぽっと頬を染める日番谷に、恋次は叶わないなぁ・・・と思った。

 そして心の中で決心する。もしこの先、日番谷が男の身体に戻ることが出来ず

将来、女として市丸と結婚するようなことがあっても、自分は日番谷を見守り続

けようと・・・。

死神の生は長い、市丸との仲とて、永久的なものとは言い切れない。有り得ない

ことかもしれないが、もし市丸と分かれるようなことがあり、その時、傷心の日

番谷が自分を頼ってくれるような事があったなら、自分は日番谷の為になんでも

しようと!

 そんな、強い覚悟を決めた恋次の眼差しに、何を誤解したのか日番谷が眉を寄

せる。

「どうした阿散井?そんな顔をして。――-―ああ。安心しろ。もし子供が出来

ていても責任を取って俺と結婚しろとは云わないぞ」

「〜〜〜〜〜〜!いえ、是非、責任を取らせて下さい!・・・もし、本当に子供

が出来ていて、それで市丸隊長のお怒りを買ったら、あんたも俺も市丸隊長の屋

敷にはこのまま住めないでしょう?」

「まぁそうだな」

「もしそうなったら、俺が自分の家を用意しますから、あんた俺と一緒に暮らし

てくれますか?」

「そうだなぁ・・・お前が迷惑じゃないんならな」

「迷惑なんて、とんでもありません!」

 

 日番谷と、そして、日番谷が産んでくれる我が子と共に暮らす。それは家族の

愛を知らない恋次には、まさに夢だった。

 

 甘い、甘い、『夢』だった。

 

「でも無理しなくていいぞ」

「無理なんてしてません!お願いですから責任取らせて下さい!」

 早朝のホテルの最上階で、日番谷を抱きしめて恋次は絶叫したのだった。

 

 

 

 

 

「冬、まだ食べますか?」

 ペリペリとライチの皮を剥きながら尋ねる恋次に、咀嚼を止めぬまま日番谷が

こくこくと頷く。

 恋次と日番谷が今居るのはホテルの一階にある一般客向けのレストランで、二

人は大勢の人達に紛れてブッフェの朝食を満喫していた。

「いくら食べても構いませんけど、腹を壊さないで下さいよ」

「大丈夫だ」

 デザートのコーナーにあった、初めて食べたライチがいたくお気に召したらし

い日番谷の為、せっせと皮を剥いて日番谷の皿の上にライチを乗せている恋次が

苦笑する。

 と、ふと目を転じた先のテーブルに座っていた若い女の子が、横の男の口元に

フォークで刺した苺を運び、男が嬉しそうに口を開くのを見た恋次の胸に小波が

起こる。

(・・・あれ、いいよなぁ・・・)

 微笑ましくも羨ましく見ていた恋次の前に、突然、ライチを摘んだ小さな手が

差し出され、ハッとする。

「え?」

「お前も食え。美味いぞ」

 自分の口元まで迫った日番谷の手に、躊躇いながらも口を開けば、ひんやり、

つるりとしたライチの感触と、口内で触れた日番谷の指先に五感がざわめく。

(・・・・・)

「タネ」

「・・・へ?」

 うっとりと眼を閉じかけた恋次に、色気もへったくれも無い現実が迫る。

「タネを出せ」

 見れば差し出された日番谷の手は、そのまま自分の前で、受け皿のようになっ

て待っている。一瞬、躊躇したものの、恐る恐る日番谷の手の中にタネを吐き出

せば、日番谷はなんでもないことのようにタネだけをかためてある皿にそれを移

し、また次のライチを自分の口に放り込んだのだった。

(ああ、もう、心臓に悪いよな。この人は)

 あくまでマイペースな日番谷に、そう思いながらも恋次は幸福だった。

 

 

 

 

 

「まだ帰るには時間がありますよ。何して遊びます?」

 そう聞きながらも、海は却下だな。と、恋次は思っていた。何しろ日番谷の身

体は昨夜自分が付けてしまった情交の痕が色濃く残っているのだ。あんな身体を

衆人の前に晒す訳にはいかない。

 日番谷の今日の装いが、黒のローンのチュニックにレギンスで本当に良かった

と、先程から胸を撫で下ろしていたのだ。まさかと思うが、市丸はそこまで考え

ていたのだろうか・・・と少し背筋が寒くもなった。

 そんな恋次の葛藤を知る由もない日番谷は、あっさりとした口調で「遊園地に

行く」と云い切った。

「遊園地ですか。ええ。勿論良いですよ。昨日は乗らなかった乗り物がまだ沢山

ありますからね」

 ほっとする恋次に日番谷が「違う」と頭を振る。

「俺は昨日の絶叫マシンとやらと、お化け屋敷に行きたいんだ」

「ええっ!」

「このままおめおめと尻尾を巻いて帰れるか!絶対リベンジしてやる!」

 

――――あんた、どんだけ負けず嫌いなんスか! 

 

呆れ果てながらも、一度云い出したら絶対に後に引かない日番谷の気性を知る

恋次は、溜息を吐きながらも了承し、部屋を片付け、手荷物以外の物を郵送して

貰う手筈を整え、チェック・アウトを済ませたのだった。




                            続く


            裏TOP     3へ     5へ